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『異世界逃亡者の無双建国 ~全属性魔法と無限アイテムボックスでゼロから始める自由な国づくり~』  作者: ねこあし


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番外編  没落貴族の娘、リーナ

リーナの生い立ちから、蓮に出会うまでをまとめてみました。

リーナ・エルヴェールは王国の名門貴族、エルヴェール家の長女として生まれた。エルヴェール家はかつて王国の重鎮として栄華を極めた一族であり、代々軍事と魔法の才能に長けた者を輩出してきた。


しかし、その運命は彼女が生まれる少し前に大きく変わった。かつて召喚国と戦争をした際、エルヴェール家は最前線で戦い、王国のために尽くしたが、結果として敗北を喫し、家は没落。多くの一族が戦場で命を落とし、生き残った者たちは財産を失い、貴族としての特権も剥奪されることとなった。


リーナの父であるアーヴィンは、かつての名誉を取り戻そうと尽力したが、敗北者の一族として扱われる彼に手を貸す者はいなかった。貴族の肩書こそ残っていたものの、その生活は質素で、貴族とは名ばかりの貧しい暮らしを余儀なくされていた。


貴族とは思えないほど慎ましい生活の中で、リーナは幼少期を過ごした。しかし、彼女は決して悲観することなく、明るく、家族と共に生きる喜びを大切にしていた。


リーナの最大の才能は「魔法」にあった。特に、治癒魔法に関しては幼い頃から驚異的な素質を示し、擦り傷や打ち身ならば、無意識のうちに治してしまうこともあった。父は戦士でありながら魔法に精通しており、リーナに基礎的な魔法の訓練を施した。母は彼女の心の在り方を育て、「人を助ける者こそが本当の強さを持つ」と教えた。


しかし、平穏な日々は長くは続かなかった。リーナが10歳の時、父が無謀にも貴族の復権を願い、ある計画に加担してしまったのだ。それは、かつての召喚国との戦争で裏切った者たちに復讐するための企てだった。しかし計画は事前に漏れ、王国の軍によって鎮圧された。


父は処刑され、母はその悲しみに耐えきれず病に伏してしまった。わずか一年後、母もまたこの世を去り、リーナは天涯孤独の身となった。


両親を失ったリーナは、エルヴェール家の遠縁の者たちに引き取られることもなく、貴族でありながら行き場を失った。そんな彼女に手を差し伸べたのは、王都の神殿だった。


彼女の治癒魔法の才能はすでに知られており、神殿の司祭たちは彼女を「神の加護を受けた少女」として迎え入れた。こうして、リーナは神殿で神官見習いとして働くことになった。


神殿での生活は決して楽なものではなかった。貴族として育った彼女は、初めて身分に関係なく人々と接することになった。食事の配膳、掃除、祈りの日々。だが、リーナは決して不平を言わず、むしろ人々と共に生きることに喜びを見出していた。


特に、神殿にやってくる病人や負傷者を治療することに、彼女は大きなやりがいを感じた。治癒魔法の修行を積むうちに、その力は日々成長し、やがて神殿の中でも屈指の回復術師として認められるようになった。


また、彼女は風属性の魔法にも適性を持っていた。治癒魔法と併用することで、体内の循環を促進させたり、傷の回復速度を高めたりすることができた。こうした才能を評価され、彼女は若くして神官見習いの中でも重要な立場を与えられるようになった。


リーナが18歳になった頃、彼女は王都の神殿で奉仕を続けていた。ある日、神殿に見知らぬ者が来ていることに気付く。


「あなた……旅の人?」


リーナが微笑みながら声をかけると男が尋ねる。


「君は?」


「リーナ。神殿で神官見習いをしているの。」


「あなた、すごく不思議な雰囲気を持ってるわね。」


「そうか?」


「ええ。でも、悪い人には見えない。」


リーナはこの出会いの時が、自らの人生の転機となることをまだ知らなかった。

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