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第167話  機神連星統合

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。

深紅の空を切り裂くように、二機の機神が舞っていた。


一体は黒鋼の甲殻を纏い、角のような装飾を有した重装型。


もう一体は蒼白のフレームと細やかな翼を持つ高機動型。


共に宙に浮かび、幾つもの魔導粒子を振りまきながら、中央の戦域に突き進んでいく。


蓮の前に広がるのは、異界に開かれた巨大な「転移孔」――《機界門》。


そこから無数の機械生命体が吐き出されており、空も地も埋め尽くされようとしていた。


戦況は未だ拮抗。


だが、侵略を阻止するには決定打が必要だった。


「これ以上、後れを取るわけにはいかない」


蓮は、隣に立つ少女――ノアと視線を交わす。


ノアは真紅の瞳で頷いた。


彼女は“機神融合技術”における最適適合者の一人として、今作戦の中核に位置づけられている。


「行こう、ノア。最終フェーズだ」


「はい、蓮さん」


二人の機神が、再び接近する。


重装型は《ヴァルゼリオン》。


蓮が駆る人型機神であり、黒鋼の鎧と破城槌を思わせる腕部ユニットが特徴。


高機動型は《イリュシオン》。


ノアの専用機神であり、速度と精密魔導演算に特化した仕様を持つ。


二機が接続ポートを開き、融合シーケンスが起動される。


眩い光が戦場を包み込み、二つの機神が一つとなる。


「《ツインドライブ・オーバーモード》、融合開始!」


《機神連星統合〈メカ・ツイン・オーバードライブ〉》――それが、この作戦の最終兵装。


融合後の姿は、黒と白、重と軽のバランスが絶妙に融合した“連星機神”――《ヴァルイリオン・ノヴァ》。


二人の精神が共鳴し、一つの意志として制御される究極の戦闘形態だ。


戦域が、たった一機の登場で塗り替えられる。


「対象照準、侵略機構コア・ナンバー《Ω7》……排除!」


ヴァルイリオン・ノヴァの肩部装甲が展開し、光子砲が姿を現す。


放たれた光線は直線軌道を描き、複数の敵機を貫いた。


同時に空中で軌道を変える追尾レーザーが展開し、退避を試みた機体も逃さない。


「蓮、次の波が来ます!」


「分かってる、ノア!切り裂け、《ブレイク・シンフォニア》!」


左腕から展開されたエネルギーブレードが、音波のごとく振動する斬撃を放つ。


振るうたびに大気が歪み、複数の敵を一瞬で解体していく。


その威力に、敵機の中枢ユニット《機帝コルギオス》がついに反応を示す。


《――敵性機神、融合システム判定不能。排除優先順位を最高値に更新》


「コルギオス……やっと出てきたか」


蓮の表情が険しくなる。


コルギオスはこの機械群の統率者であり、機界そのものの意志を宿す存在。


周囲の空間が光の柱で囲まれ、《空間断絶》のフィールドが展開される。


そこへ、白銀に光る巨大な機神が降臨した。


「こちらも準備は万端です……!」


ノアが呟き、ヴァルイリオン・ノヴァのコアが赤く点滅する。


二人の意識はさらに深くリンクし、最終解放形態デュアル・コーデックスへと移行する。


そのとき――戦場の遠方、浮遊大陸の南端にあたる地点で、マリルたちが進行状況をモニタリングしていた。


「蓮、ノア……融合機神による前線突破か。やっぱりとんでもない連中ね」


マリルが呟く横で、カイエンが冷静に補足する。


「しかし、融合限界時間は十二分。このままでは機構側に適応される可能性がある」


「援護に向かうべきか?」


ミストが問いかけると、ネフェリスが目を細めた。


「まだ早い。彼らは限界を超えている。今は……見守るとき」


ノアたち五人の新たな仲間は、今後の戦局で確実に鍵となる。


彼らの役割が明らかになるのは、もうすぐだ。


再び主戦場へ。


《空間断絶フィールド》の中で、蓮とノアは最終コマンドを実行していた。


「機神最終解放――《連星絶対崩壊砲〈ツイン・シグマ・エクスプロード〉》!」


二人の力が一点に収束する。


ヴァルイリオン・ノヴァの両肩が開き、巨大な粒子砲が露出。


そこから放たれた光は星のように輝き、すべてを浄化するかのごとく放射された。


白銀の閃光は、コルギオスのボディを粉砕し、背後のゲートをも破壊する。


そして――静寂。


あれほど轟いていた機械の咆哮が、嘘のように止んでいた。


「終わった……のか?」


ノアが震える声で問いかける。


蓮は静かにうなずき、機体の動力を順次シャットダウンしていく。


戦いは終わった。だが、それはほんの一幕に過ぎない。


この機界との干渉は、やがて“真なる存在”の目を覚まさせる引き金となる。


「さあ……次の戦いへ行こう、ノア」


「はい、蓮さん」


そして二人は、空の向こうへ――次なる未来を目指して、飛び立った。

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なお、第2作目の作品『定年異世界転生 ~家電の知識で魔法文明をアップデート!~』もよろしくお願いします。

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