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第135話  深界の覇王

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。

――これは、世界の奥底での物語。


かつて誰も踏み入れたことのない場所。


かつて誰も視たことのない真実。


かつて誰も、触れてはならぬと恐れた存在。


そして今――その扉は、開かれた。


 


「……視える。あれが……世界の深層核〈ディープ・コア〉の本体……!」


蓮の目の前には、ただただ圧倒的な存在感を放つ巨大な光球が浮かんでいた。


それはまるで、銀河を閉じ込めたような煌めきと、星の終焉を思わせる沈黙を同時に湛えている。


イリスが呻くように呟いた。


「……あれは……世界の心臓。生命の起源にして、終焉の結晶……!」


その存在は、まさに異界と現界、あらゆる因果と法則を司る核心。


だが――そこには異様な気配が漂っていた。


無数の黒い触手のようなものが、〈ディープ・コア〉を覆い、蝕み、侵食している。


それはまるで、世界の癌細胞。


シャムが呻いた。


「……これが……オルフェウスが言っていた……『侵蝕因子』か……!」


そして、その中心に――いた。


「……来たか。世界の侵食者……」


その存在は、


あまりに異形で。

あまりに禍々しく。

あまりに――圧倒的だった。


異界の覇王。

深界の主。

世界侵蝕因子の核。


その名は――


〈アビス・ロード〉


 


その姿は人のようで人ではなく。

竜のようで竜ではなく。

影のようで影ではない。


禍々しくねじれた闇の結晶体が、幾重にも重なり合い、ひとつの王の姿を形作っている。


その存在が、声を発した。


『……歓迎しよう、選ばれし者たちよ……』


その声は、直接脳髄に響くような、重低音の共鳴だった。


『我は世界の底より目覚めし者。あらゆる因果と命運を喰らい、滅びの未来を紡ぐもの。』


蓮は、一歩も退かずに告げた。


「――だが、ここは渡さない。この世界は、もう……お前の好きにはさせない!」


『面白い。ならば試せ。お前たちの運命の強度を。この世界に刻まれし無限のパラドクスを乗り越えられるかを。』


 


そして、戦いが始まった。


蓮・イリス・リーナ・シャム。


対するは、〈アビス・ロード〉。


その圧倒的な力は、次元そのものを歪め、空間そのものを塗り替える。


重力、時間、空間、法則―― 全てを無視し、捻じ曲げ、破壊し、再構築する。


「っ――くそっ、こいつ、規格外にも程がある……!」


蓮は無数の剣撃と魔法を叩き込みながら、かつてない危機感を覚えていた。


だが、仲間たちもまた、限界を超えて戦っていた。


イリスは古代竜の真なる姿を解放し、リーナは魔導の極地に至り、シャムは神速の境地を突き抜ける。


――それでも、届かない。


〈アビス・ロード〉は語った。


『無駄だ。この世界そのものが、我の領域。我が存在が消えることはない。』


「ならば――」


蓮は叫んだ。


「この世界ごと、書き換えてやる……!!」


 


その時だった。


蓮の胸の中――〈アイテムボックス〉の深奥から、光が溢れ出す。


それは、かつてオルフェウスが残していった『白き鍵』。


そしてもう一つ。


かつてラグナ・コード戦で得た『零なる因果結晶』。


二つの光が、融合した。


イリスが驚愕する。


「それは……この世界の……新たなる創造因子クリエイション・コード……!?」


リーナが叫ぶ。


「蓮! それを使えば、もしかすると――!」


蓮は、頷いた。


「行くぞ――深界核解放!」




……ラグナ・コードのコアデータ。


二つの光が重なり合い―― 蓮の手の中で、新たな鍵へと姿を変える。


それは世界の因果律すら越える、真なる扉の鍵――


《パラドクス・キー》


『それは……まさか……!?』


〈アビス・ロード〉の動きが一瞬、止まる。


蓮はその隙を逃さず、仲間たちに叫んだ。


「今しかない……!全力をぶつけろ!!」


イリスが咆哮し、リーナが詠唱し、シャムが突撃する。


そして蓮は――《パラドクス・キー》を深界核に突き立てた。


 


――解放せよ。


――世界の真実を。


――未来を切り拓く者のために。


 


爆発的な光が、深界全域を覆い尽くす。


〈アビス・ロード〉の絶叫。

因果律の崩壊。

世界法則の再構築。


そして――


沈黙。


 


……気がつけば、蓮たちは元の地上近くへと戻っていた。


深界核は完全に浄化され、 世界の侵蝕は止まり、 かつてないほどの清らかな力が満ちていた。


イリスが呆然と呟く。


「……やった、のか……?」


リーナが微笑む。


「ううん……やったんだよ、私たち。」


シャムが、疲れ果てた表情で笑った。


「……また、生き延びちまったな。」


蓮は静かに、深界の空を見上げた。


そこには――


曇りのない、澄んだ青が広がっていた。


 


そして物語は、新たな局面へと進む。


世界の再生。

失われた文明の復活。

各地の勢力の動き。


そして、迫る新たな敵影――


 


これはまだ、黎明の序章に過ぎない。

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