第123話 黎明決戦
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帝都アーク・ベリアル——その中心にして、最後の戦場が広がろうとしていた。
異界殲滅兵器〈ラグナ・コード〉の暴走は、蓮たちの決死の戦いによって一時的に抑えられた。
しかし、それは決して終焉ではない。
むしろ——これからが始まりだった。
かつて、帝国が異界の力を求め、無数の犠牲と引き換えに築き上げたこの巨大な都市。
その支配の象徴たる皇帝、そして帝国軍最強の将軍たちが、最後の布陣を敷いて待ち受ける。
だが、蓮は迷わない。
彼には目的がある。
この腐敗しきった帝国を終わらせること。
そして——新たな国を創り出すこと。
それこそが、彼に託された未来であり、仲間たちと交わした約束だった。
仲間たちの視線もまた、揺るぎない。
イリス、リーナ、シャム——この戦いを越えた先に、彼らの願いがある。
「……いよいよ、だな」
帝都外縁部に立つ蓮の声が、夜風に消える。
彼らの背後には、戦い抜いてきた仲間たちの姿があった。
各地で結集した反帝国勢力。
王国軍、自由都市連合、辺境の戦士たち——そして異界から訪れた存在たちまでもが、その戦列に加わっている。
だが、何よりも特異なのは——イリスだ。
古代竜としての真なる姿を顕現した彼女は、今や一騎当千どころか、一国を滅ぼす力すら秘めている。
その蒼き竜翼が、帝都の闇を裂いて煌めいた。
「行くぞ、皆」
蓮が剣を掲げる。
「今日、この帝国を——終わらせる!」
決戦は凄絶を極めた。
帝国軍最後の防衛機構〈黒曜の獄将〉はすでに破れ、残るは皇帝直属の〈七大戦将〉のみ。
だが、その一人一人が異界の力を濫用し、人智を超えた怪物と化していた。
炎の巨人。
鉄の暴君。
虚無を喰らう魔人。
雷霆を纏う剣帝——。
だが、蓮たちは一歩も退かない。
リーナの光輝の魔術。
シャムの影を操る暗殺技法。
そしてイリスの蒼雷の咆哮。
それぞれが、過去の自分を超え、宿命すら斬り裂いていく。
蓮もまた、自らの剣に宿した異界の力〈ネメシス・レガリア〉を最大限に解放し、帝国最強の兵たちと激突する。
「……帝国の未来は、俺たちが創る!」
最後に立ちはだかるは、皇帝——アーセルト・ザ・ルイン。
異界召喚術の究極の果てに至り、自らを半ば異界の存在へと変貌させた暴君。
「愚かなる反逆者よ……世界の真理は“支配”だ。それこそが秩序。それこそが安定——!」
「違う。世界は——繋がることで、変わる!」
蓮と皇帝——その最後の剣戟が、帝都アーク・ベリアルの天を裂いた。
そして——決着は訪れる。
皇帝アーセルトは敗れ、帝都は炎と雷光に包まれながらも、新たな静寂へと向かっていく。
蓮たちは勝利した。
だが、それは終わりではない。
「……さあ、ここからだ」
蓮は空を見上げる。
そこに、彼が目指す未来がある。
「この地に——新たな国を築く。誰もが笑って、生きられる世界を!」
そして、物語は次なる章へと進む。
帝国の崩壊。
新たな国家の建国。
異界の力を巡る戦いは、終わりを迎え——それでも尚、未来は続いていく。
黎明は訪れた。
その色は、決して沈まぬ深紅。
人々はそれを——
「黎明決戦〈クリムゾン・ドーン〉」
——と呼ぶことになる。
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