第120話 帝都進撃
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――夜明け前。帝国首都〈ヴェルゼリア〉。
その空に、一筋の光が奔った。
それは、帝国という長き闇夜を貫く、新たなる時代の狼煙。
「……いよいよ、か」
蓮は高台から、遥か彼方に聳え立つ帝国城〈黒曜宮〉を見据えた。
あの場所こそが、帝国支配の象徴であり、侵略と圧制の牙城。
その背後に立つイリスの存在感は、かつての比ではない。
今や彼女は、完全なる古代竜〈真なる竜姫〉として覚醒している。
龍紋が浮かぶその姿は、美しくも畏怖を誘う超越存在。
「蓮。私は竜族の誓いを以って、汝の盟友であり続けよう。帝国がいかなる悪を以って抗おうとも、竜は汝の剣、汝の翼となる」
「……心強いな。イリス」
蓮は微かに笑うと、仲間たちを振り返った。
リーナはその手に魔弓〈輝幻の軌跡〉を握り、シャムは新たなる影装〈夜帝の黒紋〉を纏っている。
そこに、竜族の戦士団。王国連合軍。
解放を願う帝国反乱軍。
異界叡書から導かれた技術によって武装した彼らは、もはや単なる寄せ集めではない。
それは、新時代を切り拓く〈建国軍〉の原型だった。
「標的は一点。帝国城〈黒曜宮〉制圧。その後――皇帝ガルヴァスとの決着だ」
蓮の宣言に、全軍が沸き立つ。
「行くぞ……帝国を終わらせる。新しい未来のために」
その瞬間。
天空が――吠えた。
イリスが、龍の咆哮を放つ。
古代竜の波動が帝都を覆い、帝国軍の結界や防衛機構を次々と無力化していく。
それは、竜族に伝わる最上位干渉――〈竜帝絶律〉。
「ば、馬鹿な……結界が!? 砦が!? 一撃で……!」
帝国軍の動揺は、一瞬で全軍に伝播する。
その隙を突いて、蓮たちは進撃を開始した。
第一防衛線、突破。
第二防衛線、竜族部隊による空爆で崩壊。
第三防衛線、王国連合軍の魔導砲撃により瓦解。
帝都の中枢区画へと突入した蓮たちは、帝国親衛隊の最精鋭〈黒鉄騎士団〉との激戦を展開する。
「これが……蓮たちの力……!」
戦場でリーナが呟く。
かつて一国の姫として閉じ込められた彼女にとって、今の光景はまさに革命だった。
シャムは影と一体化し、帝国暗殺部隊〈影鴉〉を次々と討ち果たしていく。
イリスの咆哮は帝都上空を支配し、帝国の魔導飛行艦隊を壊滅させる。
その中心で――蓮はただ、一歩ずつ帝国城へと歩を進めていた。
「ガルヴァス……待ってろよ。お前の時代は、もう終わりだ」
そして――帝国城前、最終防衛区画。
そこに、最後の障壁が立ちはだかる。
「帝国四天将、最後の一人……〈黒曜の獄将〉か」
漆黒の重装を纏う巨人が、蓮たちの前に立ちはだかる。
「ここより先は……帝国の血で染められし者のみが許される領域。我らの悲願を阻む者よ、滅びよ」
だが、蓮の目は揺るがない。
「違うな。ここはもう、お前たちだけの帝国じゃない。……未来は、俺たちが創る!」
その宣言と共に――
最終決戦の幕が、上がった。
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