第12話 決戦の果て
蓮とカールの激闘は最終局面へ。炎を纏う蓮の剣と、極限まで鍛えられたカールの剣技が激しくぶつかり合う。死力を尽くした戦いの末、蓮はある賭けに出る。仲間たちの運命を懸けた決着の行方は――。
燃え盛る剣を握りしめ、蓮は目の前の男を見据えた。
「さあ……決着をつけるぞ!」
「……望むところだ」
カールの声は静かだったが、内に秘めた闘志が剣気となって溢れ出ている。
次の瞬間――
――ズバァンッ!!
爆発するような音とともに、二人の剣が交錯した。
炎と鋼がぶつかり合い、火花が弾ける。
「ッ……!」
蓮は炎の力を駆使しながら剣を振るう。カールの防御を崩すため、角度やタイミングを変えながら攻撃を仕掛けるが――
「その程度か」
カールはすべてを見切るかのように、最小の動きで受け流してくる。
(ダメだ……! 炎を纏わせても、こいつには通じない!)
蓮の額には汗が浮かぶ。
だが、カールの攻撃は止まらない。
「ならば、終わりだ」
カールの剣が鋭く閃き、蓮の懐へと迫る。
(……やるしかない!)
蓮は覚悟を決めた。
カールの剣が迫るその瞬間――
「≪フレイム・エクスプロージョン≫!!」
蓮は自らの足元に爆発魔法を放った。
――ドォォンッ!!
轟音とともに爆炎が吹き上がる。
「何っ……!?」
カールの視界が一瞬、炎に覆われる。
そして――
「これで決める!!」
炎の中から蓮が飛び出し、全力の一撃を繰り出した。
――ゴォォォッ!!!
剣が閃き、カールの剣を弾き飛ばす。
直後――
――ズバァッ!!!
蓮の刃がカールの胸を浅く斬り裂いた。
「……ッ!!」
カールが膝をつく。
しかし、彼は笑っていた。
「……見事だ」
そう言うと、彼は静かに剣を地面に突き立て、降伏の意思を示した。
「団長が……!」
白狼騎士団の兵士たちが動揺する。
そこに、シャムの声が響いた。
「団長が負けたんだ! これ以上戦えば、お前らもただじゃすまないぞ!」
兵士たちは剣を構えたまま、互いに視線を交わす。
やがて――
「……撤退する!」
指揮官が叫び、帝国軍は後退を始めた。
「……勝った、のか?」
リーシャが呟く。
蓮は剣を握りしめたまま、ゆっくりと息を吐いた。
「……ああ、勝ったんだ」
カールは立ち上がり、蓮を見つめた。
「お前にはまだ伸びしろがある……今後が楽しみだな」
「……そうかよ」
蓮は肩の力を抜いた。
「楽しみ……か……あんたには二度と会いたくはないが……な。それに、俺にはやるべきことがある」
「ふむ……」
カールは静かに頷くと、部下たちと共に去っていった。
そして、戦場に静寂が訪れる。
「蓮……ありがとう」
リーシャが涙を滲ませながら微笑んだ。
蓮は頷く。
「これで終わりじゃない。俺たちは前に進まなきゃいけない」
そして蓮とシャムは、隣国の王都へと向かった。
召喚国を「帝国」とし、王を「皇帝」に訂正しました。




