第11話 宿命の対決
白狼騎士団長カールとの激闘が幕を開ける。圧倒的な剣技と冷静な戦術眼を持つカールに対し、蓮は機転と魔法を駆使して応戦する。しかし、カールの実力は予想以上に高く、蓮は追い詰められていく。戦局を覆す鍵とは――。
森の中、火花を散らしながら剣と剣が交差する。
「フッ!」
蓮が素早く踏み込み、剣を振るう。しかし――
「甘い」
カールは最小限の動きでそれを受け流し、すかさず蓮の横へ回り込む。
(速い……!)
反射的に後退するも、カールの追撃は止まらない。
「遅い」
重い剣撃が蓮の防御を突き破り、腕が痺れる。
「ぐっ……!」
衝撃で数歩後ずさる蓮。しかし、カールの猛攻は続く。
――ギィン!
剣と剣が激しくぶつかり合い、周囲の空気すら震わせる。
(このままじゃジリ貧だ……)
カールは一撃一撃が的確で無駄がない。攻撃と防御の切り替えも迅速で、まるで戦闘そのものが身体に染み付いているかのようだ。
「剣の腕は悪くないが、詰めが甘い」
カールの剣が蓮の胴を薙ごうとする。
「チッ……!」
蓮は咄嗟に跳び退き、間一髪で回避する。だが、既に息が上がっていた。
「どうした、異世界の剣士よ。貴様の力はその程度か?」
カールが冷たい目で蓮を見下ろす。
(……このままじゃ勝てない。何か突破口を――)
「ならば、これならどうだ!」
蓮は剣に魔力を込める。
「≪ライトニング・ブレード≫!」
刃が雷光を纏い、一瞬でカールに向かって突き出された。
「――遅い」
カールは剣を巧みに動かし、魔法の刃を受け流す。
(こいつ、魔法すら捌くのか!?)
驚愕する蓮だったが、すぐに次の手を打つ。
「≪アース・スパイク≫!」
地面から鋭利な岩の槍が突き出す。しかし――
「見え透いている」
カールは軽やかに跳び、岩槍をかわすと同時に蓮へと一閃を放った。
「ぐっ……!」
防御が間に合わず、蓮の肩を浅く斬り裂く。
(ダメだ……このままじゃ……!)
しかし、その瞬間――
「≪エア・バースト≫!」
蓮は足元に風の魔法を発動し、爆風を利用して一気に距離を取った。
「ほう……」
カールが僅かに目を細める。
「戦場で生き残るために、工夫を重ねたということか」
その言葉に、蓮は口元を拭いながら答える。
「そうさ……俺は負けるわけにはいかない」
戦場では蓮の仲間たちが帝国軍と激突していた。
「奴ら、思った以上に手強い!」
シャムが矢を射りながら叫ぶ。
「だが、ここで引くわけにはいかない!」
リーシャが魔法で援護しつつ、兵士たちを蹴散らしていく。
しかし、白狼騎士団が戦線を押し上げ、形勢が徐々に悪化していた。
(まずい……このままでは押し負ける)
蓮は歯を食いしばり、決断する。
「……もう一つ試すか」
蓮は剣を掲げ、深く息を吸う。
「――≪インフェルノ・ブレイド≫!」
剣が激しく燃え上がり、辺りに熱風が広がる。
「ほう……面白い」
カールの瞳が僅かに輝く。
「ならば、私も全力で相手をしよう」
彼は静かに剣を構えた。
その瞬間、周囲の空気が一変する。
「さあ、決着をつけるぞ……!」
蓮とカール――二人の剣士の戦いは、ついに最終局面を迎えた。




