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第99話  帝国潜入作戦

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。

王都南門での戦いから数日が経過した。


蓮たちは王城の作戦室に集まり、帝国の動向と次の行動について話し合っていた。


机の上には地図が広げられ、帝国の主要な拠点や軍の動きが記された書類が並んでいる。


「帝国の内部に潜伏している協力者を探す、か……」


蓮は腕を組みながら、リーナの提案を反芻した。


「帝国のやり方に疑問を抱いている者がいれば、こちらの情報収集が格段に楽になるのは確かだな」


「でも、そんな人がそう簡単に見つかるのかしら?」


イリスが地図を見ながら呟く。


「帝国は内部の統制が厳しい。裏切り者と見なされたら即処刑されるような環境よ。まともな反乱分子が存在するかどうか……」


「まぁ、確かにハードルは高いがな」


シャムが短剣を弄びながら言う。


「だが、帝国の全員が帝国の方針に従ってるとは限らねぇ。むしろ、上の連中に不満を持ってるヤツは多いはずだ」


「問題は、どうやって接触するか、ですね」


リーナが考え込む。


「帝国の兵士や貴族が、そう簡単に我々と協力してくれるとは思えません。情報を得るには、それなりの手段が必要になるでしょう」


蓮はしばらく思案した後、口を開いた。


「まずは帝国の現状を整理しよう」


彼は地図の上に手を置き、重要な地点を指し示した。


「帝国の中心地はもちろん帝都だが、そこに至るまでにいくつかの拠点がある。その中でも、情報を得るために適した場所があるはずだ」


「帝国の前線基地や要塞は厳戒態勢が敷かれているはずよ。それ以外の場所なら……」


イリスが目を細める。


「交易都市か?」


シャムがすぐに察した。


「その通りだ」


蓮は頷く。


「帝国にはいくつかの交易都市が存在する。そこでは様々な人種や商人が行き交い、比較的情報が流れやすい環境になっているはずだ」


「確かに、帝国の直轄領内でも交易都市ならば警戒は多少緩いかもしれないわね」


リーナが同意する。


「では、具体的にどの都市を目指すの?」


「アドリスの街が最適だろう」


蓮は地図の一点を指さした。


「アドリス?」


イリスが小さく呟く。


「帝国の東部に位置する交易都市です。もともとは独立した商業都市だったのですが、数十年前に帝国が占領しました。しかし、帝国の支配下に入った後も独自の自治を維持しており、完全に帝国の支配が行き届いているわけではありません」


「つまり、帝国に反感を持っている者が潜んでいる可能性が高い、ってことか」


シャムが鋭く言った。


「その通り。ここならば、帝国の内情を知る者とも接触しやすいだろう」


蓮の言葉に、全員が頷いた。


潜入計画

「潜入ルートについてはどうする?」


イリスが尋ねる。


「正面から堂々と入るわけにはいかねぇしな」


シャムが腕を組む。


「それなら、密輸ルートを使うのはどう?」


リーナが提案する。


「アドリスのような交易都市なら、必ず裏のルートがあるはずです。商人たちが税を逃れるために利用する密輸路を使えば、比較的安全に潜入できるかもしれません」


「それなら、密輸商人と接触する必要があるな」


蓮は地図を見つめながら言った。


「帝国との交易を行う商人は多いが、その中でも密輸に手を染めている者は限られる。となると、まずはそうした商人の情報を集める必要があるな」


「その辺は俺に任せとけ」


シャムが自信ありげに言う。


「こういう裏の情報収集は得意なんでな」


「頼む」


蓮はシャムに一任した。


「では、シャムが密輸商人との接触を試みるとして、我々は?」


イリスが尋ねる。


「俺たちは別の手段でアプローチをかける」


蓮は新たな作戦を提案した。


「帝国には、戦争を嫌う貴族や、帝国のやり方に不満を持つ者が必ずいるはずだ。そうした者たちと接触するために、アドリスの貴族や商人の間に潜り込む必要がある」


「つまり、俺たちは貴族に化けるってことか?」


シャムが驚いたように言う。


「いや、正確には商人だ」


蓮は即答した。


「帝国の貴族は身分制度が厳しく、余所者が容易に入り込むのは難しい。しかし、商人ならば話は別だ。交易都市では商人の出入りが多いため、新顔でも比較的怪しまれにくい」


「確かに、それなら自然に溶け込めるかもしれないわね」


リーナが納得する。


「でも、それなりに信用される商人として振る舞うには、それなりの準備が必要よ」


イリスが指摘する。


「商売道具や商品の準備はもちろん、帝国の経済状況についても把握しておくべきだわ」


「その点については問題ない」


蓮は微笑んだ。


「俺のアイテムボックスを使えば、珍しい品を持ち込むことができる。帝国では手に入りにくい商品を扱えば、それだけで信用を得ることができるはずだ」


「なるほど……確かに、それなら商人としての信用を得やすいわね」


イリスが納得する。


「では、潜入方法は決まりましたね」


リーナがまとめる。


「シャムが密輸商人のルートを探る。私たちは商人としてアドリスの街に潜入し、帝国の内部の情報を探る」


「そういうことだ」


蓮は頷いた。


「この作戦が成功すれば、帝国の動向を把握し、さらには影の力の真相にも迫れるはずだ」


「準備にどれくらいかける?」


シャムが尋ねる。


「三日後に出発しよう。その間に必要なものを準備し、各自役割を徹底しておくんだ」


「了解」


全員が頷いた。


そして、蓮たちは帝国への潜入作戦に向けて準備を開始した。

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