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異世界からの帰還者、ダンジョンのある50年後の世界にて  作者: Nikolai Hyland


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沙塔真奈美は焦っていた。

青平バブルで一気に勢いづいた自身の配信チャンネルも、じわじわと落ち込んで来ている。

むしろ最近は、青平の発言等によりアンチ守月勢力が活気づいているせいか、荒れ気味ですらある。

そんな中、青平の動向をまとめる動画以外では、未だに浅層でうだうだやっているだけなのだから、然るべき結果と言えよう。

青平も、最初こそは自分なんかの相手をしてくれていたが、すでにトップ層との繋がりができたため、今さらこんな底辺配信者には付き合ってくれないだろう。


──尾ノ崎玲那に鷹橋夏海に……遠いところに行ってもうたなあ。


わずか10年足らずでAランクに到達し、その美貌から各種メディアにも引っ張りだこな尾ノ崎玲那は言うに及ばず、鷹橋夏海とて常人とは言い難い。

有名企業創業者一族の御曹司であるというのは、配信者としても間違いなくバフだ。

そんな人間が配信を始めるとなれば、誰しも少しは興味を惹かれる。

事実として、夏海は配信活動開始当初、サムネイルにもタイトルにも『ダイナ・サポート御曹司』と入れていた。

とはいえ、そこから伸びるかどうかは本人次第である。

何かでプチバズして最高のスタートダッシュを切りつつも、その後は泣かず飛ばずで消えていく人間など、掃いて捨てるほどいるのだから。

そういった配信に関してもそうだが、探索者としても間違いなく優秀である。

この前の青平が出演した際にはフィジカル面でだらしのない姿を見せていたが、あれは周囲がトップ層ばかりであったためだ。

18歳の資格取得から数年、しかも玲那と違い高専卒業ではなく一般枠からのスタートである。

それで大学にも通いつつしっかりとCランクまで上がっているのだから、誰が見ても優秀と言えよう。

しかし、なんにでもケチをつけたがる人間はいるもので『全身ダイナのハイエンドフル装備でいくらかかってるんだ』『初心者の装備じゃない』といったネットの書き込みも見られた。


──やったら自分でやってみいや。


真奈美からすれば、たとえ同じ装備を使えたとしても、同じことができる自信はなかった。


そのような高みにいる人間と付き合うようになった青平に、再度コラボを依頼するような──あの時は色々とあって湧き出していたクソ勇気は、もうなかった。

それでも生活をしなければならず、今日も今日とてしょうもないと自分でも思う動画を編集していると、ソーシャルメディアの通知があることに気づく。


「うひゃあ!」


奇声を上げる真奈美。

その通知はまさにいま考えていた──割と常に考えてはいる──件の青平からのDMであったからだ。

なぜか爆弾処理でもするかのごとく、恐る恐るそのDMを開き、内容を読み進める。


「なんで……?」


思わず疑問が口をついて出てしまう。

なぜならその内容は、青平側の企画持ち込みで、真奈美の配信に出たいというものだったからだ。

詳細については直接会って話すということで、承諾するなら京極ダンジョンで集まろうという。

まるで配信者を狙った詐欺──金銭目的であったり、出会い目的であったり、この仕事をしていれば、なおかつそれなりに容姿の整った女性であれば、よく見かける──かなにかのような文面だが、彼にはそれをする動機がない。

お金もある(らしい。ネット調べ)し、美人な彼女──玲那をそうだと真奈美は思っている──もいる。

そりゃ自分もそこそこ悪くはないとは思っている──謙遜である、自信がなければ顔を出して配信者などはしない──が、玲那には遠く及ばない。


──でもでも、蓼食う虫も好き好きって言うしもしかして……って誰が蓼じゃい!


そんな脳内ひとりノリツッコミをしつつ、そこまで広くない2DKの部屋をうろうろと歩き回る。

その愉快な姿を配信すれば、あるいはファンも増えるかもしれない。


──考えたってしゃーないな。アカンかったらその時はその時!


最近は萎れていたクソ勇気がむくむくと蘇ってくるのを感じる。

青平をコラボに誘った時や、親に黙って専門学校を辞めた時など、普段とは打って変わった謎の行動力を見せるのがこの沙塔真奈美であった。


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