表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロリータ・コンプレックス  作者: 之


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/18

(11/17) 知らない知り合い。

「あれ?」



コータがリナとはぐれたことに気づいたのは、

会計のためにレジに向かうときだった。



「車は入り口近くだし、大丈夫…かな。」



12歳なら迷子になっても、

自分でなんとかできる年齢だ。



――と思ったが、

12歳のころの自分を思い返せば

いつまで経っても自分を迷子と認めず、

躍起(やっき)になって家族を探し回った

恥ずかしい記憶が(よみがえ)った。



――さっさと会計を済ませよう。



コータはそう考えてレジに向かうと、

女性店員に呼びかけられた。



「ムシくん?」



虫崎(むしざき)コータをそう呼ぶひとは限られている。



コータは相手の顔をチラと見て、

背中にワっと汗が湧き出た。



「や、矢那津(やなつ)…さん。」



「おーやっぱそうじゃん。

 ひさしー。てか変わってないねぇ、ムシくん。」



十数年ぶりの対面。

高校時代の同級生は当時のままの明るい髪で、

大きな目をした美人だった。



「あっ…。」財布を取り出す手が震える。



コータは引きこもりだが、

外出を積極(せっきょく)的にしないだけで

日常生活はこうしてそれなりにできている。



しかし忘れていた。

外には昔の自分を知るひとがいる。

それを恐れていたことを。



矢那津(やなつ)アイはコータにとって、

一番会いたくない人物だった。



「いまなにやってんの?」



「あっ…買い物…です。」



「知ってるー。仕事だって。」



「えっ…。あの…。」



「キョドってんの? なに?」



「いえ…。すっ、すみません…。」



「おじさん! 勝手にどっか行かないでよ。」



そこへはぐれていたリナが()け寄ってきた。

しれっとお菓子をカゴに入れた。



「えっ? ムシくんの子供?

 にしては…なに…? お小遣(こづか)いあげてるやつ?

 ははーん、もしかして誘拐(ゆうかい)?」



(ちが)っ…。」



矢那津(やなつ)冗談(じょうだん)めかして言われたが、

即座に否定しようにも言葉が途切れた。



「おばさん! コータのなに?

 客に対して失礼過ぎない。」



「お…?」リナに言われて矢那津(やなつ)の顔が引きつる。



「…すみません。ごめんなさい。」



コータは頭を深く下げ、

コイントレーに新札を置くと、

ケンカ(ごし)のリナの(くち)をふさいで

サッカー台へと逃げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ