出会い2
花の妖精?愛し子?普段の生活ではあんまり聞かない単語だ。やっぱり死んじゃったのね、私。
『違うよお。たしかにあっちの世界じゃ死んじゃったけど、今はほら、ちゃんと生きてる。僕たちが君を連れてきたんだ。』
私の周りをふわふわと飛びながら、妖精が説明してくれるけど、イマイチ理解出来ない。私が妖精の愛し子とやらだという意味も、なんで違う世界に連れてこられたのかも。
『それはね、僕たちの愛し子がこの世界ではなかなか見つからなくって。僕たち本当に参ってたんだ。でも今日突然愛し子の気配がするからさあ。すごく焦ったんだよ?』
可笑しそうに笑いながら妖精が続ける。いろいろ話したいこともあるし、君もまだ戸惑ってるみたいだけど、今はこの辺にしとこっか。君の体調が最優先だね。
ずっと痛みを我慢していた私に気付いたようにそう言うと、妖精は突然姿を消してしまった。
ええ、、居なくなっちゃったよ。君の愛し子、もう限界なんだけど。そう思いながらフラフラの状態で何とか立ちあがろうとする。そのとき遠くの方から人の声がしたような気がして。助けてと声を出さないといけないのに、そんな気力も体力ももう無いみたい。
誰かが私の存在に気付いてくれるよう祈りながら、私は意識をなくしてしまった。
ふと、目が覚めた。目だけで辺りを見回して、自分がベッドに横になっていることにびっくりする。ここは何処だろう。相変わらず都内の喧騒は感じられないし、でも、さっきの木の下でもない。親切な人が助けてくれたのかな。ちょっと不安になって、ベッドから出て部屋の様子を見ようとして、、上手く足に力が入らずに床に崩れ落ちてしまった。
『、っ。』
いたあ、、。腰を強く床に打ち付けちゃったみたい。痛みで小さく呻くとドタバタと慌ただしい音がして、目の前のドアが勢いよく開かれた。
『起きたのかっ!』
びっくりして目線を上げると、大きく見開かれた綺麗な翠の瞳と目が合った。
うわあ、、すんごいイケメンだ。髪はサラサラのブラウンだし、切れ長の目もスッと通った鼻筋も薄い唇もバランス良く小さな顔に収まっている。人見知りで美形に耐性のない私は、キョドキョドと視線を彷徨わせた。
『ベッドから落ちたのか?』
そのすんごい初対面イケメンが、私に近寄って来て、顔を覗き込んできたのでびびる。ただでさえ、上手く人とコミュニケーションをとるのが苦手なのに、めっちゃ美形だし、正直言ってちょっと怖い。私はそっと後退りした。
そうしたらそのイケメン、傷付いたような顔をして私を見るの!私は慌てて、コクン、のさっきの問いに対して頷く。