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花の妖精  作者: ぱる
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過去

 小さい頃は、自分が世界の中心だと思ってた。


 母親譲りの真っ白な肌。うるうると潤んだ大きな黒い瞳。髪はさらさらで、身体は折れそうなくらい華奢だった。

 親の贔屓目もあったと思うけど、将来はアイドルか女優さんで決まりね、なんて言われたりなんかして。

 だから漠然と自分がかわいいことは自覚していたし、私は特別な子なんだ、と思い込んだ恥ずかしい時期もあった。でも、それは小学校に入学するまでの話。


 父の仕事の都合で、通っていた保育園とは遠く離れた小学校に入学することになった。わがままだった私は保育園では仲の良い友達が1人しかいなかった。その心優しい友達と離ればなれになってしまうことの重大さを、当時の私はあまり理解していなかったように思う。 

 でも、小学校に入ってすぐに、ことの深刻さを理解した。周りの子どもはみんな保育園からの友達。小さな田舎の小学校の中で、異分子は私1人だけだったのだ。加えて、6歳のときの私の姿は自己中心的でわがまま。自分が気に入らないことがあると、すぐに泣きわめくようなひどい有様であった。それでも、根拠のない自信と持ち前の気の強さのおかげでなんとなく浮きはしたものの、いじめられることはなかったのが不幸中の幸いであったように思う。


 それから少し経って、私は小学5年生になった。この5年間の間に私の気の強さとわがままはなりを潜め、クラスでは目立たない存在になっていた。でも、それは学校生活を重ねる上で、私なりの処世術を身に付けただけであり、心の中では、やっぱり私はクラスで1番かわいいなと思っていたし、ぎゃーぎゃーと騒いでいる馬鹿なクラスメイトの中で、1人静かに本を読んでいる自分に、小さな誇らしささえ感じていた。

 そして小学5年生にもなると、自然と起こったのが「いじめ」だった。ターゲットは秋ちゃん。小動物みたいで目がきらきらしてて、私がクラスで2番目にかわいいと思っていた女の子だった。私は自分で何度も言うが、顔はかわいい。でも、本ばっかり読んでいる暗いやつだったし、その当時は大抵の男の子より身長も高かったため、男の子にモテたことなどなかった。馬鹿な男子にモテるのはちっちゃくて愛嬌たっぷりの秋ちゃんみたいな子。そう、秋ちゃんは男の子にモテるから、いじめのターゲットに選ばれたのだ。

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