転送
雪村こずえは焦っていた
その日は休日の日曜日、何故か彼女は朝七時に学園内を歩いていた
理由は昨日スマートフォンを教室に忘れた為、それを一刻も早く回収したいが為にわざわざ休日に足を運び取りに向かった
スマホ重度依存性、彼女はスマホを片時も離さず毎夜我が子のように抱いて眠る
そして自分のスマホが無い、彼女はそれが頭から離れず昨晩の真夜中、過呼吸を起こすほどの呼吸困難を起こし、さらには頭痛、半身痙攣迄
苦痛の夜を過ごした
一睡もできず命の危険もあるこの状況だが、彼女は明朝早くにスマホを回収する事を心に決め何とか意識を前に保ち、踏みとどまっていた
彼女の向かう場所は教室、自分のクラスの2年B組、彼女は教室にスマホを忘れたのだ
慌ただしく教室に入り自分の机の中を覗く、覗くがそこにあるべき筈のスマートフォンが、、無い、無い、無い
彼女はさらに焦りだす、そして教室の角から角まで探して回った、だがそれでも見つからない、必死の彼女はあげくに他人の机の中迄覗きこんだ、
しかし、それでも見つからない、どうしても見つからない、
彼女はパニックの末大声をだし、震えだした
すると聞き慣れないメロディーが後ろの方から鳴り響いた、
それはアラームのようだがかなり変わった音色をしている
そして、、
ガタ、ガタ、ガタっ…とロッカーの中から物音が
その音は自分のロッカーから聞こえてくる
スマホ特有のバイブレーション、
彼女はロッカーにスマホを置き忘れた事を思いだした
歓喜し急いでロッカーの鍵を開けようとした瞬間
今度は[ガタン、ガタンっ]とロッカーの中で音がした、、
さらに不思議なアナウンスも
[身柄を移動しました、転送確認]
[転送完了です、緊急事態を解除します]
彼女は不思議そうに首を横にもたげた、そしてロッカーの鍵を出しドアを開けると、
何故かそこからパジャマ姿の女の子が現れた