さまよう魂2
奥に進むにつれだんだんと血の匂いが濃くなった、
寝室の床は黒い血で満ちていた、
男性はベッドの前で両手を伸ばしながらうつ伏せで死んでいる、まるで泳いでいるかのような形で
老刑事の渋谷長一は、天井や、壁、四方八方に飛び散っている血をじっと見つめている
[酷いですね、犯人は斤かそれともノコギリか何かで首切ったんですかね]
まだ刑事成り立ての葉山雅信が渋谷に話しかけた
斤か、、、
[お前ガキだからアイスキャンディー好きだろ]
[アイスキャンディー……]またなんで急に
[あのよぉ、折って食べるアイスキャンディーあるだろ]
[はい、安いやつでメロン味とかイチゴ味とか凍らせて食べる奴ですよね]
[そうだ、、、だけどたまに喉渇いている時完全に凍ってなくても、そのまま食べる事あるだろ、無理やり]
[そうですね、よくやりましたね]
[その時さ、こう、なんて言うか]
[液体が飛び散る…]
[そう、それっ]
[そして二つに折った片っ方は直ぐ飲むだろ、だけどもう一つはどうなる]
[さあ~飲めませんね…]
[それ、どうなる]
[どうなると言われてても、手がアイスでびちょびちょになりますね、間違いなく]
[そうだ、そうだよな、、]
葉山は首を傾げながら聞いている、
[どっち道この血の海じゃ鑑識がくる迄近寄れねえな、もう一つのご遺体は何処にあるんだ]
[トイレの中ですけど]