平凡な学生
「はあー…。」
今日もまた俺の一日はため息で始まる。
俺の名前は真鍋隼人。十八歳。
ごく普通の家庭に生まれ、何にも困らずにここまで育った。
RPGの登場人物風にいえば、まさに村人Bが相応しい。
これといった特技はなく、勉強を頑張り国立大学に入学した。
そんな俺が特別になりたい、誰かに認められたいと思いながら送る日常生活だ。
今日は入学式だ。慣れないスーツを着て電車で学校へ向かう。
電車通学は初めてのため、電車内で何をしたら良いかがイマイチわからず、仕方なくスマホを触っている。
学校に着いた俺は入学式の会場へ向かう。
会場には既にたくさんの学生が居て、俺もそこへ紛れる。
入学式が終わり、俺は土木科で入学したため、その教室に向かう。
理系ということもあって教室には女子は二割に満たない程しかいない。
期待してはいなかったが、直面してみると残念だ。
講義や履修についてなどを指導教員が説明し、それが終わると今日は解散になった。
早速友達を作り、仲良さげに話す人やスマホを触る学生がいる。
そんななかで俺は誰にも話しかけることができず、またその場に留まることもできない。
「家帰ってゲームでもするか。」
そう小さな声で呟き、教室を出た。