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コルネリア。

 おとうさまとのお話の後。


 わたしには専属の護衛がついた。




 まあ、それまでも護衛騎士さまが交代で誰か彼か身の回りにはいたのだけど、今回は少し違った。



 彼女? は、わたしの着替えの時にもお部屋の中に常に常駐したから。


 いちおう着替えや湯浴みのときには背を向け扉を守ってはいたけれど、それでも常にお部屋の中や近くに必ずいる、専属、だったのだ。



「ねえ、コルネリア。ずっとそこに立って居られると落ち着かないわ。ここに来て一緒にお茶しましょう」


 一応彼女はプブリウスの娘と紹介された。おにいさまの筆頭侍従の娘。と。


「いえ。私は公務中ですので」


 そうつれなく断るコルネリア。


 詰襟の騎士服にミニスカート。ニーソックスに編み上げブーツ。


 色は全体的に淡いピンク基調でかわいい。


 身長はわたしとどっこい。年齢も多分同じくらい? 10歳は越してない感じ。まだ子供だ。


 うん。これで護衛が務まるのだろうか? っていうか本当に護衛? ちょっと信じられなくて。


「うーん。じゃぁ。お願いじゃなくて業務命令? あなたのこと知りたいの。ねえ。一緒にお茶しよう? っていうか、しなさい?」


 うーん。困った顔。


 うん。そんな困り顔もキュートでかわいい。


 白銀の髪をおかっぱにして前髪ぱっつんなコルネリアは、ほんと可愛らしいのだ。


 これで、男の子でさえなかったら、きっとほんとアイドルにだってなれるかも。



 って、これはたぶん、秘密、なのだろう。


 ほかのみんな、アスターニャでさえその事には気がついてない。


 っていうかもし男の子だってバレたら大変。


 なにせわたしの入浴時にも同席しているのだから。もし知れたらアスターニャがどれだけ怒るか解らないよ。


 だから。


 これはわたしの中だけの秘密。



 そもそもコルネリアはわたしが気がついているなんて思ってもいないだろう。


 最初の着替えの時のコルネリアのありえない心の色が無かったら、きっとわたしも気がつかなかったし。




 困った挙句しょうがなくといった感じで席に着くコルネリア。


「どうぞ」


 アスターニャが絶妙なタイミングでカップを差し出した。



 今日はアールグレイのミルクティー。ガトーショコラのケーキも美味しい。


 庭園でのお茶はわたしの日課みたいなもので、午後の気晴らしだ。


 流石に周囲に護衛騎士様たちも詰めているのでコルネリア一人が席に座ったからといって問題はないはず。


「ねえ。コルネリアの服は特注?」


 ピンクの子供用騎士服なんて、他では見たことない。ミニスカはなおさら、だ。


「はい、まあ、そう、です」


 顔を真っ赤にして答えるコルネリア。


「そうよね。わたくし、コルネリアみたいにかわいい騎士さま、お見掛けするの初めてでしたもの」


 子供の騎士見習いなら居ないわけじゃない。


 騎士科の学生は大抵黒を基調として金をあしらった騎士服で、それはそれでかわいいのだ。


「ミニスカートもあまり見ないものね」


「ああ、はい。これはサーラ様専属として、お側に居られるように配慮? した結果、だそうです……」


 ん? どういうこと?


 ……なにか、不本意って色が見えますわね。


 うん。この子、好きでこの格好の訳じゃぁなさそう?


 ……スカート自体に恥じらってる感じは無いような気がしますわ。


 そう。お話を投げかけるごとにコロコロと変化する心の色。それが見たくってお茶に誘ってみたのだけど。


 なんだかサンドラ楽しんでない?


 ……まあ。楽しんでるのはサーラも一緒でしょう?


 あはは。まあ。ね。


 もうちょっとつついてみよう。


「女の子の騎士見習いは他にもいるの?」


「はい。騎士科に女性は少ないですが、居ないわけではない、です」


「コルネリアは優秀なのね? その若さで専属騎士なんて」


「いえ、あの……」

 ……マリアンヌ様が……


 ああ、ちょっとヒント、見えた。


 そっか。マリアンヌねえさまの趣味、か。


 ねえさま、今学園の騎士科に通ってたっけ。


 あの事件の後。


 わたくしも騎士になりたいです! って主張したねえさま。今は帝立中央学園の騎士科に在籍してるはず、だけど。


 まあいっか。かわいい、は、正義だよね。

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