聖結界。
文字通り一瞬で跳んだあたし。
空間の位相、位置エネルギーに干渉するギア・アウラ。
そのアウラが集まってできているのがこの背中の天使の羽。魔ギア 《エンジェルウイング》アウラ・フェザー。
アリシアのキオクが流れ込んできて、この魔ギアの使い方もわかる。
魔王バルカとの位置を一瞬で縮め、そしてその脇にドラゴンバスタードを薙ぐように払う。
しかしその手応えを感じることは出来なかった。
瞬時に残像を残して消え去るバルカ。
背後に魔王の気を感じたあたし、振り返っているまもなくそのまま上空に跳んだ。
あたしがいたその場所にはマグマのようなエネルギーの塊が放たれていた。あぶないあぶない。
そのまま剣を片手に急降下する。バルカの手にもいつのまにか剣が握られていた。
一合、二合と打ち合ったあと後ろに飛ぶあたし。
バルカがその剣をギュンと振り回すと、漆黒の光がヤイバとなって飛んでくる!
左腕のシルヴァから白銀の盾を顕現させ、そのヤイバを受け止めつつ前に出る!
あいつ、まだ本気じゃないよね?
——ええ、まだ遊んでますね……。
両手を天に掲げたバルカ。
その上空に集まる無数の炎。
——残念だけど、わたしが出来ることなら大抵のことがバルカもできるはずなの。だから……。
うん。アリシアの力だけに頼らないでなんとか攻撃の糸口、見つけなきゃね!
バルカの手があたしに向かって振られて、一斉に襲いかかる炎の玉。
渦を巻いて襲いかかるそれを前面に貼った防御膜で防ぎ、そして。
あたしは両手を背後に開き、背中に多数の光の塊を生み出す。
ばっと両手を前面に開き打ち出すその魔法の光!
「フレア・アターック!」
掛け声と共に打ち出される無数の光が魔王バルカに届く。
単純にエネルギーの大きさであれば、あたしのそれはバルカに負けるかもしれない。
アリシアが一人では太刀打ちできないほどのチカラを集めているそんな魔王バルカなのだ。
でも。
それならそれでも戦い方はあるはず!
あたしの放った光の渦は、それを防ごうとするバルカの魔法事飲み込んだ。
無数の聖結界を弾幕にして放ったフレア・アタック。
その結界に触れる事でバルカのマナを封じ込める。
浄化までしようと思えばこれではまだ足りないけれど、動きを止めるだけなら!
聖結界に包まれ身動きが取れなくなった魔王バルカに向かってあたしはドラゴンバスタードを振り下ろした。




