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ハンニバル・バルカ。

 ボス部屋?の奥に下の階へ降りる階段があり、進むとまたボス部屋。そんな感じで何層も地下に進んで行ったあたし達。


 ボス部屋のボス魔獣は毎回違っていたけれど、そこまで苦戦もせずなんとか倒してここまできた。


 不思議なのはここまで来る間全くと言って良いほど先行してた騎士様達の痕跡が無いこと。


 倒されたにしろ、囚われたにしろ、少しは何か残っていてもおかしくはないはず、そう思っていたのに。


「サーチの魔法を使っても、まったく反応が無いですね……」


 と、アルミナ。


 ほんとあたしも広範囲に周囲を探ってみたけど人の気配はまったく無かった。魔力紋すら感じない。あ、ううん、違う。感じているのは魔王バルカのものだけだ。


 ということはやっぱりもう彼らは別の場所に移動させられているのか。


 少なくともこのダンジョンとは別の場所にいるに違いない、って、そうだといいな。




 バルカの魔力紋の波動はどんどんと大きくなってきた。耳鳴りがして煩いぐらいだ。


 だいぶんと中心に近づいてきているとはおもうのだけど……。


「これ、どこまで続いてるのかなぁ?」


「あんまりこんな単調な調子だと飽きるよね」


 ティアとカイヤがそう零す。


 魔獣は現れるけれどそこまで強敵でもなくて。


 ボスはボスで強い敵ではあるけれどなんとか攻略できないでも無いそんなレベルで。


 ああこんな調子だと油断しちゃうよね。なんて頭をよぎった時だった。



 目の前が急に開けて、だだっ広いグレーの空間になった。


 足元もグレーのモヤがかかったような。




 ビリビリ!


 目の前からの激しい気が当たる!


「後ろ! 消えてる!」


 ティアがそう叫ぶ。今まで通ってきたはずの迷宮の通路そのものが跡形もなく消えたのか、ううん違う、また別の空間に移動したのかも。


 目の前には真っ赤に燃える炎。


 そこから感じるバルカの魔力紋。


 ああ、あれが魔王バルカ。その心の本体か。


 降り注ぐ激しい風のような気を両手で防ぎ、あたしはその真っ赤な炎に注視した。


 そして。


 最初はぼんやりと、だけどだんだんと人の形になったその炎は、いつしか一人の男性となってそこに立っていた。


 ——ハンニバル・バルカ!


「ああ、久しいな。お前の中に居るのは魔王アリシアか?」


 そう話すその男性。あれが魔王バルカ? 思ってたよりも優男?っぽい?


 ——うん……。バルカはバルカなんだけど……。


 はう?


 ——なんか違う……。


 え? どういうこと?

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