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論より証拠。

「でも、どうしたの? レティ。魔力紋が感じられないよ?」


「うんごめんカイヤ。あたし、レイスのゲートが閉じちゃって、開かなくなっちゃったの」


「はう! だからか。魔力紋が感じられないけどティアはそこに間違いなくレティが居るって言うし。念話も聞こえてない? みたいだったし。とりあえず小石を飛ばしてみたんだけど」


「うん。あたいはこの龍のしずくのおかげ? レティシアを感じてたよずっと」


「レティの龍玉ね、ティアが感じてたのは! ボクだって魔力紋さえちゃんと感知出来ればレティを見失ったりしないもの」


「はうう。ごめんねえ……」


 あたしは二人を抱きしめて。カイヤの黒いふさふさなお顔に思いっきり頬擦りした。


 ちょっと涙で毛が濡れちゃったけど。ごめんねカイヤ。




 あんまりベランダで大きな音を立てていると騒ぎになってもいけない。


 あたしはカイヤとティアに部屋に入って貰って窓を閉めた。


 ティアは変身を解いて人の姿に戻り、部屋の中を見渡して。


「はうー。なんだかレティシアお姫様みたいだ。すっごく綺麗」


「このお部屋、すごいよね」


「ううん。もちろんお部屋はすごいけど綺麗なのはレティシアもお部屋もどっちもだよ!」


 そんなティアのセリフにみんなで笑顔になって。


 あは。


 なんだかすごく安心する。


 あとはあたしが魔力を使えたら、ここからいつでも出ていくんだけどな。


 ——使えるよ?


 へ? アリシア?


 ——わたし色々実験してみたの。レティーナったらもうすでにこの世の殆どの魔法術式のキオク、レイスに納めてるんだもの。


 はう。大聖女様に直接書き込まれた、あれ、かな?


 ——外部動力でも魔法は発動出来るんだよ。昔のわたしがそうだったからレティーナの身体でも可能かどうか実験してたの!


 外部動力って……。


 ——使えた外部動力になりそうなものが龍玉しかなかったから、あんまりたくさんの魔法は使えなかったけど、


 ——きっとカイヤに協力して貰えばもっとたくさんの魔法、上級魔法だってきっと使えるかも!


 え、うそ。


 ——身体、ちょっと貸してみて。


 いいよっていう前にグルンって意識が切り替わった。


 もう、ちょっと! アリシア?


 ——はうごめんねレティーナ。でも、論より証拠、よ!


 そういうとあたしの身体を操ったアリシア、カイヤを抱きしめてそのまま右手を伸ばす。


 その右手の指の先にぶわんと水の塊がまあるく浮かんだ。

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