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会いたいよ……。

 クラウディウス様のお顔が険しい。


 躊躇して、そして一呼吸置いてから声を絞り出す。


「それがわかっていればこんな苦労はしていないさ……」


 そう、両手を広げて。


「何も言わず姿を消してしまったのです?」


「ああ。そのおかげでレティーナにも迷惑をかけた……。まさか君を追い出すだなんて。すまなかった」


 はう!


 クラウディウス様、あたしに何があったのか、ちゃんと把握してくれてるんだ……。


「サンドラはレティーナを利用しようとしていたのではないのですか?」


「それは、どう言う事だ?」


 少し顔色を変えるクラウディウス様。


「レティーナの状態を見させてもらいました。彼女のレイスは必要以上に肥大化して、尚且つ空虚な状態でした。普通の人が持つような感情も未発達で。これでは魔王の器として育てられたとしか思えません。サンドラが敢えてそうしていたのだとしたら?」


「仮に、だ。もしそうだとしたら自分が消えるときには魔王バルカを彼女の中に納めていくはずだろう? 確かに、魔王を封じるのに感情の欠如した器は有効ではあるからな」


 はう。


「そこなのです。わたしが疑問なのは。ではどうしてサンドラは何もせずに居なくなったのか。そもそも彼女の肉体は1400年前にすでに消失しているのですから。公主サーラの死と共に……」


「ああ。カッサンドラはその後もサーラのマナで形取られたサンドラのマトリクスのまま、この世界に存在を続けていた。わたしも子供の頃から彼女によって育てられたようなものだからな」


「サーラのマナはこの世界の根幹とつながっていましたから。ある意味現時点で一番神に近い存在であったサンドラが何故消えてしまったのか」


「君にも、わからないのか? 君は彼女の片割れ、だろう?」


「そこまでご存知でしたか……。ええ。だからこそわからないのです。彼女がこの世界から消失する事はあり得ないから——」


 え? 片割れ? って。


 神様? って事? 大聖女さまも?


 あたしの中に降り注いだアリシアの、神様のキオクがオーバーフロウする。あの、キオクの中の神様。今、あたしの中にいるこの人……。




 ああ。大聖女さま。あなたはまだ何処かにいらっしゃるの?


 もしかしたらまたもう一度、あなたに会うことが、できるの?


 あたしはそんな可能性が存在することが、とてつもなく嬉しい。


 会いたいよ。サンドラ様……。

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