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決着。

 クロコとシロ、そしてレヴィアも巨大化し、4対1で戦うもバルカは強かった。


 ……やっぱりあきも一緒に来てもらったら良かったんじゃない?


 ……でも、絶対に元世界に帰れるって保証はできなかったですもん。しょうがないです……。


 うん。異世界の穴の仕組みはまだよくわかってないし。標準日本の別世界に行っちゃったらとか浦島太郎状態になっちゃったらとか、そういう可能性だってあるもの。

 未来のあきさんが迷子になってたけど、ああなる可能性だってあったし。


 わたしがバルカの後をまっすぐ追って来れたのも、魔王石のおかげだろう。

 身体の中の魔王石が惹かれあってるのがわかる。

 バルカとわたしに別れた魔王石。

 それが根本では繋がってる、そう感じてる。

 だから迷いなく追ってこれた。


 そうか。


 魔王石が一つになりたがってるのか。


 バルカの攻撃もこちらを殺そうとするものでも無い。する気になればいくらでも殺傷能力の高い魔法が使えるはずなのに。


 きっと、わたしを呑み込む隙を探っているのだろう。


 わたしも。


 ダメだな。此の期に及んでバルカを殺す事が出来ずにいる。


 ……しょうがないよ。それがアリシアなんだもん。


 うん。ごめんねナナコ。




 何度も激突し、そしてお互いにかなり消耗して。


 いつのまにかわたしたちを取り囲むように現れた騎士団。


 カッサンドラ様、リーザ、コルネリアの姿も見える。


「加勢します!」


 そう言って飛び込んでくるコルネリア。


「気をつけて! コルネリア」


 サーラお願い!


 ……コルネリアに加護を!


 わたしの身体から金色の膜がゆらゆらと立ち登り、コルネリアを包み込む。


「え?!」


 驚いたコルネリアが一瞬こちらをみるも、何か納得したような顔になりそのままバルカに切りかかった。




 コルネリアが斬りかかる。


 両手のヤイバで薙ぎ払うバルカ。


 その隙にクロコが弾丸アタック。弾かれたバルカをシロの雷撃が襲う。


 レヴィアが氷の刃を飛ばす。マントでなんとか防ぐバルカ。


 わたしがそのままライダーキック宜しく飛びキック。なんとかバルカを地面に叩きつけることに成功した。




 砂煙が消えると其処には精根尽き果てたかのようにしゃがみ込むバルカの姿があった。



 《まだ、油断は禁物だ魔王殿。奴の事、この一帯をもう一度焼き尽くすだけの魔力を残しているやもしれん》


 うん。


 地面に降りると、ゆっくりと、わたしはバルカに近づいた。


「どうした。トドメをささぬのか?」


 何かあっさりとした顔になっているバルカがそうこちらを向いて言った。


 わたしはそれには答えず無言で歩いていく。


 ……え? どうするつもり? アリシア。


 ……亜里沙ちゃん、危険です!


 ごめん。



 わたしは両手を広げると、バルカの目の前に突き出した。

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