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転生少女、の、お見舞い。

 真っ白な病院は、静寂に包まれていた。


 コミケが終わりわたしは彰さんに連れられ瑠璃のお見舞いに訪れていた。

 今日は八時まで面会時間との事で、そんなにゆっくりはしていられないのだけど。



 あきさんはラインハルト様からの伝言がある、と言った。


「まあ。奴も元々この世界の人間だったらしい。性格は真反対だったけどな」


 そういうあきさんは、少ししかめつらで。感情を隠しているようにも見えた。


 でも、良かった。


 彼をあの世界で殺してしまったのは間違いないのだろう。でも、この世界に帰ってきたのなら。それは。救い。だ。


「終末プログラムってのは、瑠璃を救うためのものだったんだと」


 そう、ぶっきらぼうに言うあきさん。ああ、でも。今ならわかる、かも。


 ……そうか。この世界の瑠璃。生きたいって思ってる瑠璃がいるんだね。


 うん。たぶん、そうだろう。


 人の心は一つじゃ無い。人の想いには、やっぱり、相反する感情だってある、よね。




 あのアリシアのいた世界が元々瑠璃のインナースペースであるのなら。

 そして今も、瑠璃の心に依存している世界であるなら。

 あの世界が存在するうちは瑠璃は目覚めない。

 そして、瑠璃の命が尽きれば、あの世界は消滅、する。


 それは……。


 どうしたらいいのだろう。


 わたしは、どうすればいいんだろう……。




 瑠璃は、個室で、真っ白なお布団に包まれるように、静かに眠っていた。

 呼吸は自発的にしているらしい。

 かなり痩せ細ってはいたけれど。あの時の瑠璃の面影は残っていた。



 わたしは。


 気がついたらわたしの顔は涙でぐしょぐしょになっていた。

 恥ずかしいとか考える余裕もなく。只々立ち尽くし泣いていた。

 彰さんはそっと部屋を出て、わたしを瑠璃と二人きりにしてくれたらしい。




 瑠璃……。


 瑠璃に近づき、そっとその顔を撫でる。


 そして。




 わたしは、そこで、また、意識を失った。

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