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聖都へ。

 ——レティ。今更聖都に戻ってどうする気?


 だって。あたしあんな噂、我慢できないもの。


 ——ボクはおすすめしないな。なんだか嫌な予感がするよ。


 でも……。


 あてがあるわけでもないしこの聖都行きで何をしようと明確に考えているわけではないのだけれど。


 とにかくじっとしてはいられなかった。


 自分の目で確かめたくて。


 できれば聖女長に会って話が聞きたい。あたしを追い出した張本人の彼女なら、何か知っているに違いない、そうも思うのだ。


 ——王宮には魔力紋ゲートがある筈だよ。忘れたの?


 忘れては……、いないけどさ。


 ——今の君はそのマトリクスのおかげで魔力紋も少し変化してるみたい。そんな匂いがするけど。


 え? そうなの?




 人の持つ固有の魔力紋。個々人によって違うからそれを利用した魔具、それが魔力紋ゲート。


 登録した人以外を拒む空間の壁がそこにあるのだ。


 そんな魔力紋、普通人生途中で変わったりするものじゃないらしいけど?



 ——うん。ボクもあんまり聞いた事ないんだけどさ。


 じゃぁあたしはどっちにしてももうゲートは通れない可能性があるって事?


 ——腕輪を外せば元の姿に戻るから、そうすれば登録が抹消されてなければ通れるって事じゃないかな?


 むう。


 どちらにしても、だ。


 元のレティーナに戻ったとしてもだよ、どうせ堂々と門を通ることなんかできっこないし。


 入るとしたらこっそり外から、かな?


 ——そううまく行くかな?


 まあね。


 聖女長さまが外に出る機会なんかあったかなぁ。お外で捕まえられると良いのだけど。


 ——ボクが、こっそり忍び込もうか?


 はう。カイヤ。


 ——君を危険な目に合わせたくは無いよ。


 でも……。


 聖女宮は女性だけしか入れないし、猫の姿のままだと話もできないよ?


 ——その辺は……。うまくやるさ。なんとか彼女を誘い出してみるよ。


 うん。ありがとうカイヤ。




 そんなことを心の中で話しながら淡々と歩いた。街道はあまり人通りも無かったけれどそれでも途中すれ違う行商人の馬車もあったのでやっぱりこのまま歩くしか無いかな。そうも思う。


 ティアもなんとかちゃんとあたしのスピードについてこれている。


 うー。もしかしてあたし腕輪を外したらティアよりもひ弱だったりする?


 ——あは。その可能性は大いにあるね。今だって能力に頼っているだろ?


 うきゅ。


 もともと身体能力が上がっているところに持ってきて魔法で補助をかけてるから全く疲れない。


 そうだよねたまには元の身体も鍛えなきゃ、かなぁ?


 ——まあいざという時もあるかもだしね。




 そんなこんなでなんとか聖都の城壁が見えてきたのはお昼になる頃。お日様がちょうど真上に来た頃だった。

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