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転生少女、と、後悔。

 親切心が相手を傷つける。


 そんな事があるなんて、その時までは考えもしなかった。


 良かれと思ってした事なら、きっと相手もわかってくれる。


 そう。無邪気に考えてた。ほんと浅はかに。




 高2の夏休み。学校にアメリカ西海岸のホームステイの募集があった。ちょうど国の留学支援補助金制度を使う事で二週間十名まで費用が無料で体験出来る、と、あって、後先考えずに飛びついたわたしは親友の瑠璃の同意を得ないまま二人分申し込み……。

 見事抽選に当たったわたしは渋る瑠璃を口説きまくり、そして西海岸に飛び立ったのだ。

 浮かれていたし、こんなチャンスは滅多に無いのだから楽しまなきゃ損。きっと瑠璃も感謝してくれる筈。

 それがまさかあんな結果になるなんて……。


 何があったのか。

 そこは本当の処わたしにはわからなかった。

 浮かれるわたしを尻目にほぼステイ先から出なかった彼女は、帰国後学校に出て来なかった。

 何度も逢いに行ったけれど、顔を見ることも出来ず。

 そして。

 自殺未遂をしたという話を噂で聞いたのが最後。

 彼女の両親は離婚し、引っ越して行った。わたしは二度と彼女に会えずじまいで。


 後悔、というものは、ほんと取り返しのつかないことなのだと、知った、のだった。


 ☆


「亜里沙ちゃん、いえ、アリシアさん。貴女は魔王という存在はご存知でしょうか?」


 瑠璃ちゃんはサーラ様モードに戻ったみたい。わたしも。うん。意識を戻そう……。


 サーラさまは、ゆっくりと静かに、語った。


 ☆☆☆


 魔王、と、は、この世界を滅ぼす、存在です。


 わたくしは、神の啓示により封印されし魔王の復活を識りました。


 そして、それを阻止するキーも。


 魔王が復活すれば、この世界は終わります。


 かと言って、魔王という存在は、決して滅ぼすことができない、いえ、滅ぼしてはいけない、そんな存在なのです。


 ある意味、魔王とはこの世の理、この世界そのものとも言えるのです。


 しかし、


 何度も言いますが、魔王が復活すれば世界が滅びます。


 で、あるからこそ、魔王を識り、そして、万一復活を阻止できない時は必ず封じなければなりません。




 貴女の……手を貸して頂きたいのです。


 いえ、貴女にしか出来ないことがあるのです。


 どうか、お願いです。魔王の復活を阻止する為に、お力を貸して頂けないでしょうか?




 わたしに何が出来るというのだろう?


 でも。何かを観て識っているのだろう大預言者サーラ様のお言葉に、逆らう術はわたしには無かった。


 そして、瑠璃ちゃんのために、何かできる事があるのなら。


 わたしはきっとなんだってしただろう。そう。贖罪。なのだ。これは。

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