白い光の道。
結局。
あたしたちはデートリンネが用意してくれた道を通って遥かな未来へと向かっていた。
遥か未来の可能性の世界、へと。
アジャンさんはセリーヌの元に置いてきた。そもそも彼女は巻き込まれただけの存在だ。
この世界に散らばるラギレスのカケラを回収し遥香ラギレスを取り戻した時、果たして彼らの意識がそのままあるかどうかも怪しい。
正い歴史に戻った時、もしかしたら悠希ちゃんも拓真も、そのままあの世界で存在出来るかわからない、そんな感じがしてる。
もしかしたら二人とも、元の世界に戻っているかもしれないし。
もしかしたらその方が彼らにとっては幸せなのかもしれないし。
そんなことも。
——まあそれはわからないよね。何が幸せかなんて本人にしかわからないと思うよ。
うん、それはそうだけど。
——わたしは幸せだったよ。きっと元の世界のわたしも一緒だと思う。あちらはあちらで幸せで、わたしはわたしで幸せで。そういうもんだよ。きっと。
元の世界の?
——眠ったままの瑠璃を助けるには瑠璃の魂を切り分けるしかなかった。元世界の瑠璃の心とわたしたちがいたあの世界は繋がったままだったからね?
はう。
——瑠璃のレイスに干渉したのはデートリンネさん、あなただよね?
……ごめんなさい。主様がそう欲したものですから。
——そのせいで瑠璃は本当に死ぬところだった。あの世界も消えてなくなるところだったんだよ!
……そう、ですね。
——まあ、いいや。終わったことだし。そのせいでわたしはすっごく苦労したんだけどね!
……ごめんなさい。アリシア様。
ああ。
わたしが皇女サーラだった時代。アリシアが魔王になってしまって大変だった時。
わたしの、亜里沙ちゃんが、真っ赤になっていったあの時。
——ごめん、思い出させちゃった?
ううん、亜里沙ちゃん。
——ふふ。そうしてると昔の瑠璃に戻ったみたいに見えるね。レティーナ。
そう、かな?
——どちらにしても、さ。切り離した先の向こうの亜里沙も瑠璃も、多分幸せに過ごせたと思うよ。刻の向こうに行っちゃったけど、わたしにはちゃんと見えたから。
そっか。そうだよね。うん。だといいな。
——今から行く世界、ラギレスのかけらが収束して集まってきた世界だって、そう思っていいんだよね?
……ええ。なんとかそこまでは追いかけましたから。
じゃぁなんでわざわざセリーヌの時代に行ったわけ? あたし達。最初っからそこに行けばよかったじゃない。
——色々あるのよ。きっとね。あの世界に行かなかったら悠希ちゃんセリーヌにだって会えなかったしこうしてシルヴァを連れてくることだってできなかったわけだしね?
「そうさ、これでもきっと役に立つぜ? な」
白い光の道を進みながら。
シルヴァはニカっとこちらを見て笑った。




