ラギレスと一緒。
——これはわたしの仮説なんだけど。
アリシアはそうちょっと勿体ぶって続けた。
まあこの際仮説でもなんでもヒントになればいいのかもね?
デートリンネは出てきてくれる気配がないし。
——世界、宇宙その物を構成するブレーンがあるとして、それってそこにいる、そこに住んでいる生き物の、特に人間のような考える生き物の魂とも影響しあっているんじゃないかって。
はう。
——パラレルワールドっていうのが分岐した世界だとしても、それはそれ自体を観測するものがいないと存在しない。つまりは観測する魂が存在して初めてそれが分岐しているとわかるわけ。
はうう。
——世界はミクロな世界の量子と同じ。観測されて初めてその世界が確定する、みたいな?
うく。よくわかんないよ……。
——うーん。まあ要するにね? 世界っていうものはそこにいる個の魂とも互いに影響を及ぼし合ってるって事なんだけど。
それって。
——過去から未来にわたって存在するラギレスっていう強力な魂の強制力によってこの世界はパラレルとして分岐することも許されず、大元の歴史改変は免れた代わりに。
代わりに?
——矛盾を解消する代償としてラギレスの魂の一部であった遥香ラギレスの存在が拡散して消失した。どう? デートリンネ。わたしの仮説、少しはあってる?
え? デートリンネ、聞いてるの!
……ごめんなさい。ずっとあなたたちのそばには居たのですけど。
もう、いるならもっと色々教えてくれればよかったのに!
……そういうわけにもいかなかったのです……。もつれにもつれた糸をほどく為にはこれ以上私達がこの世界のコトワリに干渉しない方がいいと、主様はそう判断なさっていますので……。
主様って、助けてって言われてるラギレスのことじゃないの?
……この世界のそのまた外側にある世界が主様そのものなのです。ここは、主様の内なる世界。全てのコトワリは主様が創造なされました。
って。じゃぁ。
……助けて頂きたいのはアリシア様のおっしゃる通り。主様の一部でもある遥香ラギレス様です。ただ、拡散したところまではその通りなのですが、彼の方は消失したわけではなく、その魂は細かく分れて転生しています。
——ああでもそれなら助けるってほぼ無理じゃない? そんな細かく分れた魂を集めるなんてそんなことわたしたちには不可能だよ。
……いえ、きっとあなた方であれば、きっと。
——どうしてそういいきれるのさ。
……主様の魂をあなたたちもその心の奥底に持っていらっしゃるのだもの。
え? どういうこと?
……レティーナ様もアリシア様も、御二方とも彼の方と同じ、主様のお力を受け継いでいらっしゃる存在なのですから。




