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科学技術。

 地下道は薄暗いものの整備が行き届いているのかクモの巣などもなく不快な感じはしなかった。

 息苦しいといったことも感じない。新鮮な空気が循環している。

 おまけ、に。


「ねえ。このぼんやり明るいのって……」


「ああ、壁に発光材が仕込んである。空調も壁材に仕込まれたエアコンのおかげで最適に保たれてるしな。おまけにオート・マタによって清掃も修繕もおまかせだ。既に500年はこの状態を維持しているし、おそらく千年でも二千年でもこのままの状態を保つだろうよ」


 シルヴァの言葉にちょっとあきれてしまう。


「ってさぁ。この世界の科学技術って、いったいどうなってるの?」


「まあ、見ての通りさ」


 はうう。

 見ての通りって言われてもそれがわかんないから言ってるのに。


 だって、ね?


 一般の人々の生活は至ってつつましやかだ。

 魔具はある程度普及しているから灯りや暖房、火や生活用水といった衣食住の生活にはそこまで困ることもないのだろうけれどそれでも前世の瑠璃の世界と比べると見劣りがする。


 何が違うって、やっぱり電化製品があるかないかっていうのが大きいかな。


 魔具っていうのはそういう電化製品のような便利グッズではあるけれど、それでもテレビやゲーム機のような娯楽は無いし。


 オート・マタっていうのは自動人形、要するにロボットみたいなの? なんだけど、アストリンジェンの街でもそんなオート・マタが御者をしてる馬車が走ってたのを見た。

 そのときは「ああ、あんなものまで魔法でできてるのかなぁ?」って思ったものだったんだけど。

 ここをこうして改めてみてみると、ほんとうにこれみんな魔法? って、疑問に感じるのだ。


 もしかしてこの世界ってほんとはものすごく科学技術が進んだ世界なの?

 そんな疑問が湧いてきて。


「ねえ。これって魔法? それとも機械?」

 思わずそう呟いてた。


 そしたら。

「知らなかったのか? この世界の神は機械神、デウス・エクス・マキナなんだぜ?」

 シルヴァがそうあたしの耳元で、さも当たり前のことをとでも言わんばかりの声音で言った。

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