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王宮の外苑。

 ノワールさんは一体どうやって次元を時間を超えているのか。

 それが疑問だったあたしはデートリンネを呼び出すことにした、ものの。


 いくら心の奥で声をかけても返事は無く。


 ——しょうがないよレティーナ。今は最初の予定通りこの世界のセリーヌに会いに行こ?


 うん。そうだよねアリシア。それに。


 ここに一人、話についていけなくなっている人がいる。


 マハリ・アジャンさん。この世界に来る前は地球の高校生の拓真さんっていう男の人だったけど、マシンメアっていうゲームをしてたらそこで使っていたキャラクターの姿になってしまい。気がついたら元の世界に戻れなくなっていたっていう話。

 元世界の親友、悠希くん? (どうやら悠希くんも男の子だったらしい)もこちらの世界に来ていてそのキャラクターが肝心のセリーヌ・ラギ・レイズその人だったっていうことで。

 ちょっとびっくりだけど、話だけ聞いてるとそれって完全に拓真くんってラギレスが原因で巻き込まれちゃった形だったりする?

 もともとは繋がっていなかった二つの世界。

 ラギレスのレイスがそっちの世界の悠希ちゃんとして産まれたことで、繋がっちゃったんだとしたら?

 うん。

 可能性大、だよねえやっぱりさ。


 ——そうよねえ。ちょっとびっくりだけど男の子同士って。


 それも今は女の子同士だしねえ。


 見た感じセリーヌがどう思ってるかは知らないけどアジャンさんの方は思いっきりセリーヌのこと気にしてる?

 あたしたちだけが会いに行くのを待ってるなんて我慢できないって感じだったし。



 ところでどうやってセリーヌに会いに行くんだろう?


「まあ任せとけ。実は前にも忍び込んだことがあるのさ」


 マリンとの話を終えシルヴァに連れてこられたのは王都の中心、王宮の外苑、公園になっているその場所の噴水の手前のベンチだった。



 ☆☆☆☆☆☆




 深夜。

 今夜は月もなく、辺りは暗闇に包まれて。

 人の気配も感じられなかった。


「ここ?」


「ああ。王宮の正面はこんな夜でも警備が厳重だしな。騒ぎを起こしたくはないだろ?」


「まあ馬鹿正直に真正面から行くのもどうかと思うけど」


「実はここには王宮の地下通路につながる入り口があるのさ。もともとは何かあった時の脱出路なんだろうが」


 はあ。まあそういうのがあるのはわかるけどなんでシルヴァがそんなこと知ってるのよと、そんな表情が見てとれたんだろう。


「俺はセリーヌと記憶を共有しているからな」


 って、ドヤ顔でいうシルヴァ。


 ——なるほどねえ。シルヴァもまたラギレスのレイスの一部なのかもね。


 そうなの?


 ——記憶を共有ってそういうことじゃない?


 まあ、そうなのか、な。


「ここを、こうして——」


 ベンチをぎゅっと小刻みに動かすシルヴァ。まるでそれが鍵であったかのように地面が崩れ、人が一人通れるだけの大きさに穴が開いた。


「さあ、行くぞ」


「ええ」


 あたしはそう返事をしてシルヴァの後に続く。


 黙ったまま深刻な顔をしているアジャンさんをしんがりに、あたしたちはそのぽっかりと開いた穴に潜っていった。

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