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おはなし世界。

「ここがそのおはなし世界だっていうんですか!?」


「少なくとも、マシンメア=ハーツの世界なのは間違いはないかな。タクマ達にしてみれば同名のゲームの世界でもあるし」


 はう。


 でも、でも。


「この世界はラギレスって神様が創ったっておっしゃいましたよね? 確か」


「ああ。そこの所がちょっと複雑なんだけど。ラギレスは元々この世界っていうか今のこの世界だけじゃ無くて全ての世界、君が居た世界もたぶん含めて全ての世界の神様なんだと思うよ?」


 え? あ、でも、確かにデートリンネは言った。あたしの世界はデートリンネの主様が瑠璃のインナースペースから創ったって。と言うことは?


 はうあう。ちょっと整理してみる。


 デートリンネの主様。これが神様なのは間違いなさそう。


 でもって、ラギレスっていうのがその主様?


 でもってこのシルヴァは魔ギアでラギレスにも会った事があるって。


「じゃぁ、そのラギレスって神様がアリシアのお話からこの世界を創ったってことです?」


 まあそれなら話はわからないでもないけど。


「いいや。そのアリシアっていうこの世界の作者がラギレスその人だったのさ」


 はい!?


「もう一つ言うと、君が今いるこの世界、魔道王国ラスレイズの姫君であるセリーヌこそが、そのラギレス自身なんだ。本人にはそんな自覚はないけれど」


 って、それって。



 炎の焚き火の周囲。あたしとシルヴァさんの周囲にはいつのまにか結界のようなものがはられていた。


 アジャンさんやタクマさんにも聞かせたくない話? 


 どうやら。そう言う事なのかな。



「まあ、俺は元々そのセリーヌから生まれた分身のような存在だから、彼女の記憶の奥底まで理解している。未来のラギレスがこの世界のセリーヌを助けるために時間を逆行して因果を掛け違えた事で、ラギレス自身のアイデンティティが失われる結果になるとは。彼女も思わなかったんだろう」


「はう、それって。神様なんですよね? その人」


「まあな。だいぶんと人間臭い精神状態だったけどな。俺たち、俺とセリーヌの前に現れた時は」


 はう。


「ラギレスは元々この世界で何度か転生を繰り返したらしい。それがアリシアであり未来のラギレスであり。そうしているうちに精神的に神様っていうよりも人間くさくなったのかもだけれど」


 神様が転生? いまいちピンとこないけど。


 ——それを言ったらレティーナだって似たようなものじゃない?


 うそ? そう? アリシア。


 ——に、しても。随分と興味深い話だよね。


 うん。そうだよね。


 ——わたしたちの前世の地球もそうしたらその神様の世界だって事になっちゃうし。


 まあ、そう言うことになるよね……。


 ——ということはあきさんの世界もそっか。おはなしが先か世界が先か、そんな事で悩まなくてもよかったのかも……。


 え? 何? アリシア。


 ——うーん、レティーナは覚えてるのかな、サーラの時代にわたしたちを助けてくれたあきさん。彼女が言ってたの。世界は無数にあるって、パラレル日本っていうくらい、いろんな日本が存在するんだって。でもってわたしやレティーナ、亜里沙や瑠璃が居た世界とあきさんが居た日本は別の異世界の可能性があるって。実際、あきさんはわたしが交流あった友坂さんって人のお話のキャラクターだった。好きだったおはなし世界の人だったの。


 はう。


 ——やっぱりこの世界って、無数のおはなし世界でできてるのかもしれないなって。そんな風にも思ってね。


 そっか。


 あたしの世界と同じように、誰かの心もまた世界を産んでるっていう事なのかな……。




「なあレティーナ。俺はちょっとセリーヌに会ってこようと思ってる。もしよかったら一緒に来るか?」


「あ、はい! よろしくお願いします!」


 シルヴァの提案は渡りに船だ。


 そのセリーヌが神様だって言うなら、きっとデートリンネのお願いもそこにヒントがあるに違いない。



 うん。少し希望が見えてきたよ。


 さっさと片付けてティアやカイヤの待ってるあの世界に戻らなきゃ、だ。

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