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聖女?

「くしゃくしゃにした?」


「はう」


 因果が複雑に絡み合ってるって、それがこの世界の神様のせいだって、あたしは聞いたけど……。


 それをここで話して良いものかどうか。


「君はいったい……?」


「お願いされたのです……。神様を助けてって……」


「神託、みたいなもの?」


 はうあうアジャンさん。


「そう、ですね。そんな感じかもです」


 まさか、聖女? 神様の言葉を託されるなんて……。


 そんな呟きがテーブルの端から聞こえる。


 アジャンさんとシルヴァさんは神妙な顔をして。


「君は、ただの迷い人じゃ無さそうだね……」


 と、そう言った。


「助けるって具体的にどうすればいいの?」


「はう。ごめんなさい。それがあたしにもわからなくって……」



 一瞬の間。



「ふむ。まあだいたいわかった。俺もラギレスを最後に見てから随分経つし、何か事情があるんだろうなあの界隈にも。ちょっとこっちでも情報を集めてみるか」


 はうシルヴァさん? あなた、神様と会ったことあるの?


 って不思議。整いすぎているその顔が、なんだか普通の人には見えなくなって。


「なあ。レティーナ。君ももし行く当てが無いのなら、しばらく俺たちと行動を共にしないか?」


「ああ、それがいい。あたしも歓迎するよ」


 シルヴァさん、アジャンさん、ほんと双子みたいにそっくりな顔でそう言われて。


 あたしはうんと頷いた。


「ありがとうございます。よろしくお願いします」




 ☆☆☆



 山猫亭の上は宿屋になってた。


 あたしの宿賃はとりあえずアジャンさんが貸してくれて。


 食事が終わり皆はそれぞれ自分の家に帰っていった。


「また明日、ギルドの前に集合だよっ」


 アジャンさんはそう、優しくウインクしてそれだけ言うと、あたしの頭をポンと叩いて帰って行った。


 はうう。ほんと、あの二人はイケメン過ぎる。


 ちょっとだけほわんと頬が赤く熱くなった。





 さあ。


 これからどうしようか。


 アジャンさんやシルヴァさんと出会えたのはあたりだろう。


 ラギレスって神様に会った事があるっていうのが日本から転移? 転生? この場合どういう風に言ったら良いのかよくわかんないけどそんな状態になってる彼らだって言うことは、なんらかの意味があるに違いない。


 因果をなんとかするっていう事がそのラギレスって神様を助けることにつながるんであれば。


 あたしにそれが求められているのだとすれば


 まあ、なんとか頑張ってみよう。そうも思うの、だけど。



 ——レティーナ! レティーナ!


 はう!


 心の奥底から声が聞こえる。


 ——ああ、レティーナ。やっと繋がった。


 って、え?


 なんで?


 もしかして、アリシア!?

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