暗転。
うーん。
硬直させちゃった。
……返事に困ってる風、ですわね。
うん。ねえ、サンドラ。ひょっとして場所変えた方がよかったかな?
……そうですね。流石に大勢の前でのカミングアウトはまずいですしね。
「ああ、ごめんなさいね。言いにくいですよね。あとでわたくしの自室でお話しません……」
バタン!!
最後まで言い切る前に庭園の入り口扉が大きい音を立てて開いた。
「ラインハルト、様……」
コルネリアが呟いた。知り合い?
「サーラ久しぶりだな! やっと帝都に帰ってきたから会いに来たぞ!」
「お久しぶりですラインハルトさま。お会いできて嬉しいです。でも、ちょっとお行儀わるいですよ?」
ラインハルトさまはちょっと頭をかいて。
「まあ、そう言うなよ。ほんとお前に一番に会いに来たんだから」
心の色も、ほんと会えて嬉しいって言ってる。正直だ。
わたしも会えて嬉しいです。ほんとあれからいろいろあって……。ラインハルトさまに相談したい事もいっぱいあるんですよ。
……ああ。後でゆっくり話そう。こちらも話しておきたい事があるんだ。
ちょっと心配な色。
なんだろう。
「ん?」
ラインハルトさま、コルネリアに気がついたみたい。
「もしかしたらコルネリア姉妹のうちの誰かか?」
「姉達をご存知なんですね。ラインハルト様」
「ああ、有名だからな。しかし、騎士科には居なかったと思ったが……」
騎士服を眺めながら。
「もしかしてお前コウラスか?」
あちゃ。あたりみたい。コルネリアが真っ赤になってる。
そっか。騎士科の先輩後輩なのかな。七つ八つ年が離れてても九年間通う学園だし、何処かで接点があってもおかしくはないか。
……相変わらずかわいいなー
小さい時からそういう扱いだったのですか?
……ああ、騎士科のアイドルだよ。
あは。そっか。
「よく似合ってるよコウラス。もっとよく見せてくれそのピンクの騎士服」
真っ赤に俯くコルネリア。
ちょっとおふざけすぎですよ? 嫌がってるじゃないですか。
……ああ、恥ずかしがってるのもまたかわいいんだよ。こいつ。
もう。ラインハルトさまったら。
と、そんなおふざけのやり取りをしてたその時。
……あ、ダメ。サーラ、リウィアが危ない!
サンドラのその声と同時に、わたしの目の前は真っ暗になった。