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第8話 王国に行こう

「…さん。起きてください召喚師さん」


「んー…?」


 誰かに揺すられて目が覚める。目の前に見えるのはケモミミ美少女。


「おはよう、ニナ」


 完璧だ、完璧な朝だ。身も心も引き締まるぜ。


「え、はい。おはようございます召喚師さん。でも、なぜ急に私が呼び出されたのでしょうか?特に何事もなさそうでしたけども…」


「ああ、そういえば説明してなかったや。なんだか新しい機能があったから試してみたくなってさ。時間が来ると自動的に召喚ができるってやつなんだ」


 そう言いながらベッドから降り、一階に向かう準備を始める。次の目的のために村長から何か聞ければいいけども。


「なるほど、そうでしたか…あ、そうだ!村長さんがあなたに話があるって言っていましたよ!早く行きましょう!」


 準備が終わった自分の手を引っ張るニナ。やっぱりグイグイ来るな、この娘!

 動揺しながらも二人で一階に降りていく。そこでは、村長がすでに椅子に座って待っていた。


「おはようございます召喚師様。ゆうべは良く眠れましたかな?」


「はい、おかげさまでぐっすりと」


「それならよかったです。…さて、お話は聞かせていただきました。どうやら世界に平和を取り戻すために旅をしているとかなんとか」


 え、なぜそれを知っているんだ。


「はい。そうですよね、召喚師さん!」


(…や、やっちまったぁぁぁぁ!)


 ニナの奴、先に村長と話していたのか!どうすんだよこれ!ここで、うっそでーす目的は美少女に出会うことでーすとか言ったら、村人達の好感度まで一気に-100くらいまでいきそうだよ!


「召喚師さん?」


「あ、ああごめん。ちょっとぼーっとしてたよ。…そうですね、そのために旅に出たのです。まだ始めたばかりで、右も左もわからないのですけども」


 こうなれば、なるべく初心者…つまりは始めたてを強調しておこう。それなら無理難題を頼まれる心配はないはずだ。


「そうでしたか…その言動、やはり祠から呼び出された召喚師様に間違いないようですな。それならば、まずはトラル王国に向かうと良いと思われますぞ。そこならこの世界について詳しく知ることができるかと」


「え、そのことも知っていたんですか?」


「いえ。昨晩の女神様からのお告げであなたがこの世界に来たばかりの、なにも知らない召喚師様と教えていただいたのです。ですから、昨日のリザードマン退治はさぞ困惑してしまわれたでしょう。村を代表して、私から深くお詫び申し上げます」


 深々と頭を下げる村長。困惑したのは事実だけども、村の人達には良くしてもらったから謝罪なんていいのに。


「そんな、お気になさらないでください。村の人達には良くしてもらいましたし、それにお礼なら俺じゃなくてゴリディアに…」


「おお、さすがは召喚師様。なんと謙虚な態度なのでしょう…それでは改めまして、ゴリディア様に感謝申し上げます。して、王国に向かうのならばこれを…」


 差し出されたのは、地図と加工されたピンク色の石がいっぱい入った袋。なんだか初めてスキャンしたものになんだか似ているような?


「地図と…これは?」


「これはこの世界での通貨です。少ないですがどうかお役にたててくだされ」


 この世界の通貨か…いや、ちょっと待て。もしかして。

 嫌な予感がして、石をスマホに映す。するとそこには100、500、1000などの数字が。つまり通貨をスキャンすると、ポイントが貯まるというわけか。


(あ、課金だこれ)


 異世界で楽しい無課金生活かと思ったら、課金要素あったのかよ!生活するためには金を稼ぐ必要もでてきたし、王国に着いたらバイト探さないとな…あるのか、バイト?

 いきなり出てきた課金要素に驚きながらも、それらを受けとる。


「あ、ありがとうございます。それでは、俺達は王国に向かおうと思いますね」


「はい。どうかお気をつけてくだされ、召喚師様」


 こうして村長の家を出て、村の外に出る。ゴリディアも召喚していざ王国!と思ったが、あることに気がつく。


「…あの、ニナ。あそこに見えるのが王国?」


 なんかでっかい建物が見えるなぁとは思っていたけど、距離的に相当でかくないか?


「はい、あれがトラル王国ですね」


「うわー…すごそうだな…」


 王国の大きさにびっくりしたけど、とりあえずは向かうか。こうして、俺達三人(二人と一匹?)は王国へと足を進めた。




その道中


 そういえばニナには耳と尻尾がついているけど、この世界には普通にいるもんなんだろうか?気になったので質問してみる。


「なあ、ニナ。ニナの耳とか尻尾ってこの世界だと普通なのか?」


「私のこれですか?獣人には普通はありますよ?」


「じゃあ王国にも獣人は普通にいるのか?」


「たくさんいると思いますよ。トラル王国は色んな種族が集まる国ですから」


 色んな種族か…羽があったり角があったりとかかな。ふむ…それもなかなか良いな。

 ニナと会話をしながら、王国への道を歩く。話のおかげで、どうやらゴリディアとニナは古代の森に住んでいたというとおり、過去の人物と動物らしいこともわかった。

 でも、女神様はなぜこんなすごい機械をどこにでもいるような人物の俺に渡したんだ?謎は深まるばかりだ。


 その途中に新たな魔物が襲ってきたりしたけど今のゴリディアの敵ではなく、あっさりと撃退できた。

 しばらく歩くと、だんだんと王国が近くなってくる。しかしその大きさも尋常じゃないことも実感できた。


「うっわ、近くで見ると本当にでけぇ…」


「トラル王国も大きくなりましたね…」


「ん、昔は小さかったの?」


「昔も十分大きかったのですが、そこからさらに…ですね」


「へー…お、衛兵が立ってるな」


 正門に近づいていくと衛兵達が会話を始める。もしかして、ゴリディアの姿を見て警戒されているのだろうか?いや、ゴリラの優しさならきっとわかってくれるはずだ、多分。

 とりあえずさらに近くによってみると、衛兵の一人がこちらに話しかけてくる。


「あなたは召喚師の方ですか?」


「はい、そうですけども…」


「おお、そうですか!実は召喚師の方が来たら王の場所まで来られるようにお伝えしろと言われていたのです!今門を開けますね」


 言い終わると同時に他の衛兵に合図を送る。案外召喚師って知名度があるのかな?

 そんなことを考えていると、門が開き始める。


(とうとう王国か…ここは元いた世界の知識の出番かな。俺の知識が何かしらの役に立てば、お金もがっぽりのはず…!ぐへへ…!)


 邪な妄想をしている間に門が開かれる。そして、意気揚々と入った俺の目に飛び込んできたのは…


 超文明の王国の姿だった。


(あ、俺の知識いりませんわこれ)


 よくわからない巨大な機械が道路的なところをホバーで走っていたり、バイクのようだけど見たことのない機械も走っている。地面も見たことない資材で整備されていて…なんというかすごい。

 道行く人々は多種多様で人間から獣人、角から羽から触覚から明らかに魔物みたいな奴まで色々いる。


(すっげぇ…ホバーしてる…磁力なのかな)


 あまりの文明レベルに驚いていたが、ニナも同じのようだった。


「わぁすごい…!まさかここまで発展しているなんて!お魚料理もさらに美味しくなっていそうですね!」


「ああ…!すごいぜトラル王国!」


 そんな浮かれぎみの俺達の肩を揺らすゴリディア。振り向くと、城に向かって指を指しているゴリディアの姿があった。


「お、おお。そうだよな、王様に会いに行けって言われてたな。ありがとうゴリディア」


「そそ、そうですよね!ご飯は王様に会いに行ってからですよね!」


(…ニナは食いしん坊なのか魚が好きなのか、どっちだろうか)


 まあ、すぐわかることだろうし今はいいかな。疑問をひとまずおいておきながら、俺達は城へと向かっていった。




トラル城前


「おおー…間近で見るともっとすげぇ…」


 入り口に近づくと近衛兵らしき人達が道を塞ぐ。


「お止まりなさい。…見たところ、あなた達は召喚師様ご一行でしょうか?」


「あ、はい。俺が召喚師で、こっちはゴリディアとニナって言うんです」


「なるほど。では女神様の贈り物も見せていただけますか?」


「どうぞ」


 スマホを近衛兵に渡すと、それをまじまじと見る。しばらくしてスマホを返してきた。


「確認できました。王様は三階の王の玉座におりますので、ご案内させていただきます」


「はい、お願いします」


 案内されるまま、長い階段を上がっていく。そして明らかに王様が待っていそうなでかい扉にたどり着く。


「今、扉をお開けいたしますね」


 なにやらスイッチらしき物を操作すると、大きな音と共に扉が開かれる。

 そこに待っていたのは、正に王様といった人物だった。

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