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第5話 ゴリラVSリザードマン

次の日


 ちょっとした違和感とともに目を覚ます。そうか、このスマホにはアラーム機能がないのか…ちょっと不便だな。


「ま、たいした問題じゃないか」


 カーテンを開けて日の光を浴びる。こういう田舎みたいな場所はやることがなさそうだけど、自然が気持ちいいのはポイント高いよなぁ。


 目を覚ましたら、一階に降りて朝食をとる。食文化は日本とあんまり変わらないようで、味も美味しかった。

 飯の後にはリザードマンの情報を教えてもらい、そのまま巣を目指して進むことになった。


「では、行ってきますね」


「ご武運をお祈りしておりますぞ、召喚師様」


 村人や村長に挨拶をして、村を出る。目の前に広がるのは風が気持ちいい朝の平原。



「それにしても、本当に広いよな…」


 改めて確認するが、平原ってこんな感じなのか。ゲームとかだとよくある場所だけど、実際に来てみるとこんな感じなんだな。このわくわく感、序盤にぴったりだ。


「遠くには山とか変な建物とか見えるし…多分海もあるんだろうな」


 それまでにはゴリディア以外の適正が高いキャラも仲間にしておきたいもんだ。ゴリディアの海適正Dで最低だし。


「道中の敵は襲ってくる奴ら以外は無視でいいか。ゴリディア強いし、敵意がないやつを倒すのはなんか嫌だし。それでいいか、ゴリディア?」


 俺の言葉に頷くゴリディア。同意も得たことだし、さっさとリザードマンの巣に向かうか。





リザードマンの巣穴 入り口付近



「へぇー、ここがリザードマンの巣か…」


 物陰から巣の様子を伺う。巣って呼ばれるからにはいっぱいいると思っていたが、いるな。武器を見るかぎり、メイジにファイターにシーフ、ソルジャーってところか。アーチャーらしき奴もいる。


(…大丈夫か、これ?)


 レベルを確認すると平均11ぐらいだが、さすがに無理がないか?でもゴリディアなら勝てる気もするような…?スマホの中のゴリディアに聞いてみるか。


「ゴリディア、勝てそうか?」


 いや待て、『ウホ。』とか返されたらどうしよう。スマホの中にいるんだから頷いているかわからないじゃねえか。

 すると、画面に文字が現れる。


『ゴリディアは静かに頷いた。』


 良かった、どうやら仕草を教えてくれるみたいだ。序盤だし、勝てそうなら脳筋でいいか…?


(よし、じゃあお前に任せたぞゴリディア)


 召喚ボタンをタップし、魔方陣を展開してゴリディアを呼び出す。それと同時に、相手もこちらに気がついたようだった。

 ゴリディアに襲いかかってくるリザードマン達。しかし、ゴリディアの強さは圧倒的だった。右腕で凪ぎ払えば敵は吹き飛ばされ、左腕のパンチでは一発KOだ。

 

(すげぇ、さすがLv12のSSRだぜ!)


 程なくして、ゴリディアが入り口のリザードマン達を倒し終える。HPも524/558だからへっちゃらだな。


「よし、このまま奥にいる親玉も懲らしめるぞ!」


 この勢いのまま洞窟の中に侵入する。道中の敵もゴリディアの敵ではなく、奥地にたどり着くのにはそう時間のかからないことだった。




洞窟 奥地


「ここが洞窟の奥みたいだな…」


 最奥にたどり着いた俺達の前にいたのは、明らかに雰囲気の違う二体のリザードマン達。すぐにスマホで相手のレベルを確認する。


(なになに、『リザードキングLv25』『リザードクイーンLv24』…って嘘だろ!?山賊親分みたいなのかと思ったら王様と王妃様じゃねえかよ!)


 キングとクイーンなんてついているなら、基礎能力も高いはずだ。レベル差もあるし今までみたいな脳筋戦法では難しいか…?


「敵は強いけれども、いけそうかゴリディア?」


 とりあえずゴリディアに確認してみる。その言葉に頷くゴリディア。こいつが頷くなら勝てそうか?

 そして、ゴリディアがリザードマン達に近づくと同時にリザードキングが大斧を担いで前に出てくる。どうやらクイーンは戦わないようだ。


 しかし次の瞬間、クイーンは空中に何かを描き始める。そしてそこからリザードキングに向かって光が伸びていく。


「もしかしてあれは…!」


 急いでリザードキングをスマホで映す。するとそこには攻撃力40%up、防御力40%upとあった。


「くそ、あいつは補助か!気を付けろゴリディア!」


 どうにかしたいけれども、俺に戦う能力は無いし補助の無効化もできない。もどかしいけれど、ゴリディアに頑張ってもらうしかないのか…


 やがて、二体の戦いが始まる。それはお互いに一歩も譲らない激しい戦い。ゴリディアのパンチと奴の斧の一撃は互角の威力だった。


(うまくいなしているからダメージはそんなでもないけど、相手にもダメージを与えられてないな…)


 ただただ見守るしかできない自分をよそに、戦いは繰り広げられる。しかし、クイーンがまた空中に魔方陣を描き始める。徐々に魔方陣に集められていく炎。あれはもしや…!?


「まずいゴリディア!炎の魔法が来るぞ!」


 HPの表示は302だが、ゴリディアに炎は効きそうだから危険だ!

 相手の意図がわかり、ゴリディアに向かって叫ぶ。だが、キングの猛攻により離れることができない。


(やばい、やばい!なにか俺に出来ることはないのか…!?)


 スマホの画面に目を移す。書いてあるのは行動のログと、ゴリディアのスキルと状態の情報と…『シンクロ』という文字。


(シンクロ…?なんだこれ…?)


 突如現れた謎のボタン。よくわからないが、これにかけるしかない…!

 魔法が放たれるより早く、そのボタンを押した、次の瞬間。俺は不思議な感覚に包まれる。



『シンクロ認証。対象、森の守り神ゴリディア。シンクロ率10…20…』



 時間の流れが遅くなる。そして、ゴリディアの感覚が俺に流れ込んでくる。それはまるで、心を通わせているような感覚。ゴリラの力が、優しさが、俺の心に流れ込んでくる…


『シンクロ率80%。シンクロレベルが1に上昇しました。スキル【アースクエイク】を習得。戦闘を再開いたします。』

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