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第4話 召喚師

 少し歩くと、村にたどり着く。すると早速村人である男性が出迎えてくれた…少し予想外の反応で。


「その獣は…!あ、あなたはもしかして召喚師の方ですか!?」


 え、なに?俺召喚師なの?とりあえずゴリラを召喚して従えているけど、人違いの可能性もあるよな…


「いや、俺は召喚師ではないと思いますけど」


「え…そうでしたか…」


 俺がそう言うとあからさまにがっかりされた。なにか召喚師がいないとまずい問題でもあるのか?


「えっと、この村でなにかあったんですか?」


「はい…実は最近、リザードマンの奴らが勢力を広げてまして…女神様のお告げでは召喚師の方が何とかしてくれるとあったらしいのですが一向に現れる気配は無く、困り果てていたのです」


 ん、女神様ってあの人だよな?つまり、やっぱり俺は召喚師?


「あ、それなら俺が召喚師かもしれないです。たいしたことはできないと思いますけど…」


「おお!やっぱりあなたが召喚師様でしたか!これでもうリザードマンに怯えなくてすむんですね!」


 あれ、この流れはもしかして。


「なに!?召喚師様が来てくれたって!?」


「それは本当!?あの獣を従えている人が召喚師様!?」


 召喚師と聞いて続々と村人が集まってくる。あの女神は一体お告げでどんな大げさなことを言ったんだよ…


「こら、皆の衆!召喚師様を困らせるでない!」


 困惑していると、村の奥から老婆がやってきて村人達を静める。


「村人達が無礼を働いてしまい申し訳ございません、召喚師様。詳しい話はあちらでいたしますゆえ、どうかついてきて頂けますか?」


「あ、はい。わかりました」


 そのまま老婆について行き、村長の家みたいな所にたどり着く。でも、ゴリディアは中に入れそうにないな。


「ここで待っててもらって大丈夫かゴリディア?」


 俺の言葉に小さく頷く。そうして、俺と老婆は家の中に入っていった。



「さて、召喚師様。あなた様には頼みたいことがありまして、どうかリザードマン達を懲らしめてくださらないでしょうか?」


「懲らしめる、ですか」


「最近の奴らの行動は目に余っているのです。しかし、村人達では太刀打ちできずに困り果てていまして…どうか我らをお救いくだされ、召喚師様」


 …断る流れじゃないな、これ!実力不足が気になるけど、この世界を知るためにここで恩を売っておくのもいい…のか?


「わかりました。俺とゴリディアで何とかしてみます」


「おお、本当ですか!ありがとうございます、召喚師様!それではこの地図をお渡ししますな」


 そう言って、老婆は地図を取り出す。そこにはここ周辺の情報が書かれていた。


「ありがとうございます、助かります。それで、今日はこの村のどこかに泊めていたたげないでしょうか?ゴリディアのやつが怪我をしてしまっていて…」


「なんと、それは大変です!すぐに治療しなければいけませんな!召喚師様はここの二階を使って頂いて結構ですぞ。どうせ老いぼれ一人しか住んでおらず、空いていますからな」


「ありがとうございます。では、早速休ませてもらいますね」


「はい、ごゆっくりお休みくだされ。私どもは外にいるゴリディア様の傷を治療してきますな」


「はい、お願いします」



 会話の後、二階に向かう。そしてベッドに横になりながらスマホをいじくる。


「あー懐かしい感覚。やっぱり異世界でもこれは格別だなぁ」


 他にもなにか機能がないか色々と触ってみる。すると、ポイントが1042になっていることに気がつく。


「あれ、ポイントが増えてる?俺何かスキャンしたっけ?」


 石をスキャンしたきりだったはずだけど、どういうことだ?


「…もしかして、敵と戦ってもポイントは入るのか?」


 となるとまずはスキャンでレベルを上げて、その後に敵と戦ってもポイントを稼ぐっていうのが良さそうだな。そう思いながら、次はゴリディアの様子を開く。


「HPが230か…少しずつ回復しているな」


 村人達の治療が効果あってほっとする。すると、変なアイコンがあることに気がつく。


「なんだこれ?戻す?」


 売却とかそういうのではなさそうだけど、なんだか気になるな。ちょっと押してみるか。

 興味本位で押してみるが、特に何も起こらない。


「…なんだこりゃ、何も起こらないじゃないか」


 すると、下から誰かがかけ上がってくる音が聞こえる。それは、息をきらした村人の一人だった。


「し、召喚師様!ゴリディア様が突然消えてしまわれました!」


 ゴリディアが?もしかして、この戻すボタンって…

 ある考えが浮かび、ゴリディアの詳細を開く。そこには待機中と書かれており、HPの回復まで後二時間とあった。なるほど、スマホの中にゴリディアを戻せるのか。


「大丈夫ですよ。ゴリディアならここにいますから」


「ここって…その箱のことですか?」


 ここなら広いからゴリディアを呼び出しても大丈夫かな?それに、召喚師っぽいことができる絶好のチャンスだ。


「ええ、ここをこうすると…」


 そう言いつつ召喚ボタンをタップする。すると魔方陣が床に浮かびあがり、ゴリディアが召喚された。


「おお…!さすがは召喚師様、このようなことも出来るのですね!」


「ええ、もちろんですとも」


 正直に言うとさっきまで知らなかったけど、召喚師っぽいことが出来たから俺は満足だ。回復まで二時間とあったしこのままゴリディアには戻っていてもらおうかな?


「さて、ゴリディア。もう一度戻ってもらっても大丈夫か?」


 俺の言葉に頷くゴリディア。それを見た後、戻すボタンをタップしてスマホの中に戻す。


「お騒がせしてどうもすみませんでした。他の皆さんにも今日はゆっくり休んでほしいと伝えてください」


「は、はい!それでは、召喚師様もゆっくりお休みくださいませ!」


 そうして村人は下に降りていく。ちょうど良い機会だからゴリディアの強化もやってみるかと思い、強化画面を開く。


(ええと、なになに。ポイントを1020消費でレベル14まで上げられるか。それにスキルレベルを上げるのにはLv1からLv2で500ポイント…ならレベルが優先だな。スキルツリーも、今だとちょっと無理がありそうだ)


 とりあえず、800ポイントほど消費してレベルを12まで上げておく。これからお世話になるのだからゴリディアに注いでも問題ないだろう。


「おっし、これで強くなったな」


 とりあえず今はこれくらいで大丈夫だろう。明日のリザードマンと戦うのが楽しみになった。


(さてと、そろそろ俺も寝るかな…)


 やることをやったら眠くなってきた。明日はリザードマン達との戦闘…頑張るか。

 軽く気を引き閉めた後、俺は目を閉じた。

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