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第3話 優しく賢く強い

 …ん?あれ?ゴリラ?え、ゴリラ?美少女でも美女でもなくゴリラ?

 目を擦ってからもう一度見る。そこにいるのは、紛れもなくゴリラ。


「召喚おめでとうございます!これからは、そのパートナーと共に過ごしたり、戦ったりしてこの異世界を生き抜いていってくださいね!それでは、これでチュートリアルを終了いたします!頑張ってくださいね勝谷秀平さん!」


 そこでスマホの音声は終わる。残されたのは、俺とゴリラのみ。


(…やべ、どうやってコミュニケーションをとろう)


 とりあえず、こいつの情報でも見よう。名前とか、好物とか、コミュニケーション方法とかあるかもしれないし。

 そう思いキャラクター一覧をタップする。そこには『森の守り神 ゴリディア』と書いてある。


(あれ、結構かっこいい名前だな)


 今度は詳細を開く。そこには色々な項目があった。


「なになに、レベルと好感度、ステータスにスキルレベルにスキルツリー、地形適正とキャラクター情報があるのか。ステータスは…よくわからないけど攻撃か万能っぽいな。スキルはメガトンパンチ、スキルツリーの初めは闘争本能か」


 メガトンパンチは単体に大ダメージだから使ってみないとわからないな。闘争本能の効果は、ダメージを食らうと攻撃力があがるってやつか。状況によるけど結構使えそうだ。


「地形適正は平原S、山岳S、森:密林SSか。…お?Sでステータスに25%ボーナス、SSで50%ボーナスだと!?」


 なるほど、地形は大切な要素だな。序盤で海適正SSとか絶対使いにくいはずだから、これも嬉しいな。


「次にキャラクター情報は…まだ一項目しか開いてないか。まあ当然だよな。えーとなになに『古代の森を守り続けてきた伝説の獣、ゴリディア。その圧倒的な力と心優しい性格と知恵が、彼の特徴である。好物はバナナとリンゴ』…か」


 賢くて優しい性格か。あれ、ゴリディアってもしかしたら初心者にはおすすめ的なやつなのでは?コミュニケーション方法が書いてないけど。


「…まあいっか!これからよろしくな、ゴリディア!」


 握手しておけば何とかなると信じて、手を差し出す。ゴリディアはその手に優しく触れて、縦に振る。


(あら、手から優しさが伝わってくるぐらい優しい手触り)


 なんだかうまくやっていける気もしてきたし、早速外に出てみるか。そういえば、ゴリディアは俺の言葉がわかるのかな?一回試してみるか。


「ゴリディア、外に出てみないか?」


 俺がそう言うと、ゴリディアはこちらに向かって歩いてくる。どうやら言葉はわかるみたいだ。

 二人で外で神殿の外に出る。そこには、現代では見たこともない風景が広がって…いるわけでもなく、普通の森の中だった。しかし、目の前には道は続いていた。


「なるほど、最初の町だか村だかへの道だな。ひとまずは道なりに進めば大丈夫そうだから、それで行くか」


 そう言って、ゴリディアと共に森の道を進んで行く。歩いていると、森の生物らしき珍しい動物の姿を目撃する。結構愛くるしい見た目の四足歩行の生物だ。


「そういや、スマホに映したらなんかあるのかな…」


 ふと気になり、その生物をスマホに映してみる。すると画面に『モッフーLv1』と映し出される。


「へー、レベルと名前がわかるのか。便利だな」


 戦闘でもレベルがあがるのかは確かめたいけど、さすがにモッフーは罪悪感がすごいからパスだな…他にもなにか強もてのやつがどっかにいるだろう。


 道を進んでいくと、やがて森の外に出る。そこには広大な平原が広がっていた。


「おおー!すっげぇいい景色!空気も旨いし、異世界ってすごいな!」


 そんなのんきなことを言っていると、ゴリディアが俺の肩を掴み後ろに引っ張る。


「おっととと。どうした、ゴリディア?」


 ゴリディアの視線の先には、明らかに敵といった風貌のやつらがいる。こっちに近づいてきているが、武器を持ったトカゲみたいな姿からして…リザードマンか?

 そう思いスマホに映すと、驚くべき情報が映し出された。


「えっと『リザードファイターLv10』、『リザードファイターLv11』…レベル10と11!?おいゴリディア、あいつらはやばい!急いで逃げるぞ!」


 ゴリディアにそう言うが、すでにこいつは戦うつもりらしいのか臨戦態勢をとっている。


(くそ、ゴリディアは戦うつもりかよ!)


 いや、まて。ゴリディアはなぜ逃げないんだ?

 もしレベル差で逃走確率とか決まってたらどうする?もしくは素早さに差があったりしたら逃げられないとか?

 もしそうだとしたら、ゴリディアは戦うことで俺を助けようとしてくれているのか?…ここはゴリディアの知恵とやらを信じてみるか。

 初戦闘がレベル差10なんて不安だけど、俺も腹をくくるしかないな。怖いけど。


「…よしわかった。相手はお前よりレベルが高いから、攻撃を食らわないように気をつけて戦うんだ」


 ゴリディアはゆっくりと頷き、前に進む。そして、リザードファイターABとゴリディアの戦闘が始まった!


 ゴリディアのメガトンパンチ!リザードファイターAは倒れた!

 リザードファイターBの攻撃!ゴリディアに30のダメージ!

 ゴリディアのメガトンパンチ!リザードファイターBは倒れた!


 勝谷秀平達は戦いに勝利した!


「うわゴリディアつよい」


 レベル1でこの強さ、これが森の守り神の実力か…どうやらゴリラを侮っていたみたいだ。後、知恵じゃなくて力だなこれは。


「というかこのスマホ便利だな…あの戦闘の様子を文字におこしてくれるのか。それならダメージとかも確認しやすいな」


 HPは220/250か。そこそこ痛いけど、まだ大丈夫そうだな。そう思いながらゴリディアに近づくと、腕から血を流しているのに気づく。

 

「ゴリディア、これ大丈夫か!?血がでてるぞ!?」


 そうか、これはゲームじゃなくて異世界そのものだ。ダメージを負えば出血もするのは当たり前だった。

 しかし、ゴリディアは慌てることなく横に向かって指を指す。そこには小さな村があった。


「あそこで休めば大丈夫ってことか?」


 その言葉にゆっくりと頷く。それなら決まりだ、急いで村に向かわなくては。

 こうして、俺とゴリディアは初めての村に向かうのだった。

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