第2話 相棒登場
次に目覚めたのは、どこかの石づくりの建物の中。周りには誰もおらず、祭壇みたいな場所で横になっていた。
「ここが…異世界…?」
ここは、よくある始まりの神殿とかそういう場所か?とりあえず、体を起こしてみる。
(体の異常はなしと…)
良かった、体は元気そのものだ。前と同じって言った方が正しいか。次に気になるのは、やはりあれだ。
「さーて、端末端末…」
少し浮かれながら辺りを見渡す。すると、近くに女神がくれた端末が落ちていた。
「お、あったあった。早速ガチャを回してみるか!」
端末を起動させ、操作する。するとそこには勝谷秀平Lv1と書いてあるマイページが映っていた。そして、チュートリアルが始まる。
「異世界へようこそ、勝谷秀平さん!私はナビゲーターのSMHです!」
SMH…ならスマホでいっか。いや、このゲームしかできないと考えるとゲーム機か?まあスマホもゲーム機みたいなものだし、どっちでもいいか。
「これからこの世界で暮らしていく上で、大切なチュートリアルを始めます!よく聞いてくださいね!」
とりあえず頷いておく。
「まず、大切なのはここのポイントです!」
そう言って、画面左上のPtとかかれた場所が強調される。
「このポイントで、あなたはガチャを回したりキャラクターを強化できたりします!」
うわ、ガチャに関係するやつで強化もするのかよ。きっついな…
「ポイントを貯める方法ですが、とっても簡単!この世界にある魔力のこもった物をこの端末でスキャンし、取り込むことで増えます!実際に試してみましょう!」
スマホがそう言った直後、目の前にピンク色の石が現れる。
「これをスキャンするのか」
スキャンボタンを押して、石を画面に映すと石の上に1000ポイントと『実行?』のボタンが表示される。そのまま実行を押すとスマホからビームが照射され、分解されるように石が消えていった。
「…これ人に向かって打ったらまずいやつだ」
ビームには驚いたが、無事スキャンが完了する。
「おめでとうございます!無事スキャンができたみたいですね!ガチャを引きたい場合は、一回50000ポイントなので頑張って貯めましょう!」
…50000。まあ石一個で1000ならそう遠くないだろ。
「でも、やっぱり早くガチャは引きたいですよね?そんなあなたのために、プレゼントをご用意しました!」
今度はプレゼントボックスが表示される。これはもしや、チケットか?いわゆる初心者ボーナスってやつだな。よ、太っ腹!
プレゼントボックスをタップして中身を確認する。するとそこには衝撃の文字が書かれてあった。
「…SR以上確定チケット…だと…!?」
SR以上確定の文字に、嫌な予感がする。
「チケットを入手しましたね!それでは早速ガチャを引いてみましょう!」
画面がガチャマークを強調する。それをタップしガチャ画面に移る。そして、ガチャを回す前にある部分をタップする。
写し出されたのは、提供割合SR99%、SSR1%の残酷な表示だった。
「…ちくしょーーーー!SR99%かよぉぉ!しかもSSRが1%じゃねえかあぁぁぁぁ!」
引ける回数と確率がとんでもなかった。SSRなんて夢のまた夢じゃねえか。
いや待て、落ち着け俺。可愛い娘ならSRにでもいるのでは?この際強いかどうかはおいておくとして、とりあえず可愛い娘ならよしなのでは?
「リセマラなんてできない、一発勝負か…ああやってやる、やってやるさ!」
勢いよくチケットをタップし、続けて『回す』ボタンを押す。
次の瞬間、スマホから光が照射され地面に青色の魔方陣が浮かび上がる。そして、青色の魔方陣が赤色に変わる。
(おそらくこれがSR演出…!もう一度変化しろっ…!)
無駄かもしれないが、全力で祈りを捧げる。
――次の瞬間、魔方陣が虹色に変化した。
「……うそだろ!SSRだ!SSRを当てたぞ!!」
光が大きくなってゆく。召喚の時は目前だ。
「やったぜ、やっぱり俺はついてるんだ!さあ、姿を見せてくれ!マイ!スイート!ハニー!」
辺りが光に包まれる。あまりの眩しさに目をつぶってしまったが、すぐに光は収まる。
そして、俺の目の前にいたのは凛凛しい顔立ちで黒き衣をまとった屈強な存在。本人は落ち着いた雰囲気を醸し出しており、そこからは優しさと強さ、そして気高さを感じることができる。そう、それはまさに…
―――巨大なゴリラそのものだった。