プロローグ『小さな小さな天地創造』
ーーー大きな神様は退屈していました。
毎日毎日真っ暗闇の中に一人ポツンと、、。
空っぽの心をどうにかして満たしたい、神様の欲求はただその一つのみでした。
ある日、大きな神様はとても素晴らしい案を思いつきました。
それは、 家族を作ることでした。
初めの数日にまず生活の土台、大空や海、大地に光を、次に家畜や植物。そして最後にヒトを作り出しました。
また、大きな神様はとても心優しいので息子であるヒトに同じ思いをさせないために『男』と『女』という概念を生み出し仲良く暮させました。
ここまで作ったところで少し疲れてしまったので、大きな神様は少し長い休みを取ることにしました。
さて、神様が眠ってしまっている間にヒトは『人間』になり、だんだん争いを始めるようになりました。
最初は叩き合いだった争いはいつしかエスカレートしていって、人を殺す筒や、吸うと死んでしまう霧などを作り出すようになりました。
そんな世界にうんざりした一人の男は、躍起になるみんなに「やめよう。」と呼びかけ始めました。
でもだーれも男の声に耳を傾けてくれません。
男は次に神様に訴えかけよう、と考えました。
しかし、神様はぐっすり居眠り中。 男の声なんてかすりもしません。
仕方がないので男は自分が小さな神様になることにしました。神様がしてくださったことを真似するのです。
小さな神様は小さな世界を作ると、大きな世界とお別れをして小さな、でも大きな幸せを追い求めるようになりました。
たとえそれが、見せかけだけの、かりそめの、箱庭の中の、幸せだとしても、、、。