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車窓から眺める街には、所々で黒煙が昇っていた。時には爆発音が響き渡り、その度に新たな煙が姿を現す。
空に立ち込めた暗雲は赤黒く染まり、夜空どころか月明かりまでも遮る。送電の途絶えた街に人の灯りはない。その代わりとして燃え広がった炎が地上を包み込んでいた。
何度か工場で嗅いだことのあった硝煙の匂いも、こう何時間も吸い続けては気分が悪くなる。
喉はひりつき、目が乾燥する。これは自分に限ったことではないはず……だからこそ、通路を挟んで反対の席に座る少女の涙が涸れないことに驚いた。
金髪碧眼。今の日本では非常に珍しい容貌をしたその少女。彼女の名前は知っていた。同い年であることも、自分より少し身長が小さいことも知っている。
――誰にでも親切で、心優しい性格であることも、知っている。
知っていたからこそ、そんな彼女が泣いていることが許せなかった。
――あの子には笑っていてもらいたい……
願いは一つ。
「どうされました、坊ちゃん?」
隣席から声をかける老齢の執事は心配そうな表情を浮かべていた。今の自分がどんな顔をしているか、想像がつかない。でも、きっと――
「爺……どうすればこの戦争を終わらせられる?」




