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シェル・フレーム'ズ  作者: 雨蔦
1話 函館戦
13/16

順次更新予定

 目を開けば、そこは真っ白な天井、白色LEDが眩く輝いていた。薬品ではなく、火薬の匂いがすることから、今いる場所が病院ではないことが分かる。少し周りが騒がしい。

 体が柔らかなものに包まれている。ゆっくりと視線を落とすと、自分の体に毛布が掛けられているのが見えた。機動兵装ではなく、プロテクトスーツが目に入った。

「…痛っ」

 体を起こすと、酷い頭痛がした。少々吐き気を感じるが、堪えることが出来る程度のものだったため、そうする。

「あっ!アリス、起きたんだ!」

 ぼやける視界に人が映る。目を凝らすと、それが梶咲だと分かった。

「…舞香?ここは…」

「函館基地の中だよ」

 改めて周囲を見渡すと、負傷者達が軍医に手当を受けている。負傷者の数は多くないが、ベッドの数の方が少ない。床に寝かされている者が多い中、アリスはベッドに寝かされていた。

「私にベッドを使わなくてもいいのに…」

「何言ってるのよ。英雄が遠慮しないで!」

 そう言って梶咲はペットボトルの水を差し出す。アリスはそれを右手で受け取ると、蓋を開けるため左手を毛布から出そうとする。

「っ…」

 痛みは感じるものの、左肩から先が動かない。

「ああ、ごめんね。あたしが開けるから…」

 そう言って梶先はアリスの手からペットボトルを取った。

「アリスの左肩、骨が折れているみたいだから、あんまり無理して動かしちゃ駄目だよ。頭の方はもう手当終わっているから」

 見れば、左肩にギプスのようなものが、頭には包帯が巻かれていた。

 梶咲から渡された水を飲み干す。自分でも気が付かなかったが、随分と喉が乾いていたようだ。

「私達が函館基地(ここ)に居るってことは、戦闘も…」

「もうとっくに終わっているよ。もちろん、あたし達の勝利でね!AAS3の制御も取り戻したから大丈夫だよ」

 アリスは安堵の溜め息を吐いた。

「隊長と大久保は?」

「おお、目が覚めたか!」

 声を掛けたのは大久保だった。その後ろには神河原も居る。しかし、小宮の姿は見当たらない。

「いやー、怪我がそれだけで良かったよ。まっ、俺のおかげだがな!」

「何であんたはそんなに元気なのよ。まさか、負担を半分にするとか言っておきながら…」

「いや、アリス。桂はお前の負担を…ムごッ?」

「あー!隊長!そう言うのはあれですよ、あれ!ちょっとこっちに来て下さい!」

 言い掛ける途中で神河原の口を塞いだ大久保は、そのままどこかへと連れて行く。大久保の右腕には肘の辺りで包帯が巻かれていた。彼はアリスよりも重症なのではないかと思った。

(とにかく、無事だったんだ…)

 しかし、神河原が言い掛けた言葉の先が少し気になった。

「あの二人…ふふ」

 神河原と大久保のことを見て、何が可笑しいのか、梶咲は笑い出した。それに釣られてアリスも笑みが溢れた。同時に、それが生きている実感にも思えた。

「勝ったんだね…」

 アリスの呟きに、梶咲が頷いた。

 確かに、今回は大久保に随分と助けられた。あの場に大久保がいなければアリスは死んでいただろうし、コンテナ付きを撃破することも出来なかっただろう。少しばかり見直した。

 不意に疲労が込み上げ、全身が(だる)く感じる。

「大丈夫?」

 心配そうな梶咲に、アリスは右手を挙げて応えた。

「今回、色々なことを学んだよ…戦場の空気や敵の命を奪うこと…そして、自分の弱さも…改善すべきことが山積みだよ」

「アリスは強いんだね」

 梶咲の言葉に対し、アリスは首を横に振った。

「強くなんかないよ…弱いから、強くなろうとしているだけ…」

「そっか…じゃあ、まず怪我を治さないとね!骨折程度なら、ちゃんとした病院で治療すれば一週間くらいで治るし、東京に帰ろう!」

 梶咲の笑顔に、アリスも笑顔で返した。

「帰ろう…」

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