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イベント物短編

プロポーズ

作者: 麻沙綺
掲載日:2013/12/31

大晦日。

今日は、彼が久し振りに帰ってくる。

私は、精一杯のお洒落をして、駅の改札口で彼を待っていた。

時刻は午後六時。

カウントダウンを二人で過ごそうと約束していた。


「もう、そろそろかな」

って、口をついて出てきた。

あっ。

来た。

私は、嬉しくて笑顔がこぼれた。

…が、彼の横には見知らぬ女性。

まさか…。

そういえば、この間話してた時に“会ってほしい人が居る“って言ってた。

もしかして、彼女が…。

彼女が、彼が言ってた会わせたい人だとしたら、私用なしだよね。

やだ。

今、会いたくない。

私は、その場から逃げ出し、カウントダウン会場に一人赴いた。



会場内は、カップルばかりだ。

ハァー。

本当は、私も彼と二人で楽しむはずだったのになぁ…。

当てもなく、ブラブラ歩く。

可愛い小物を見つけて。

「薫、これ…」

って言いかけて、留まる。

そうだ、今は、一人だったんだ。

何だか虚しくなる。

「彼女。一人なら、一緒に…」

「間に合ってます」

声かけられても直ぐに断った。



ハァー。

どうしようかなぁ…。

そうこうしているうちに。

『今年も残すところ、後わずかになりました』

と、ステージから声が聞こえてきた。

そっか、もうそんな時間か…。

『皆さん、一緒にカウントダウンしましょう』

電光掲示板に秒数が示される。

『10,9,8,……3,2,1。ハッピーニューイヤー!』

ステージ上からマイクを通して聞こえてくる。

周りは、楽しそうに笑ってる。

私は、一人落ち込んでいた。

場違いに思いその場を後にした。



ハァー。

自分のアパートの階段を昇っていく。

部屋の前に人影があった。

その人と目が合うと、私は踵を返し、逃げた。



今、会いたくない。

「由美ー!」

彼が追いかけてくる。

「由美、待てって!」

「嫌だ!!」

「由美!」

彼に追い付かれて、腕を掴まれた。

「離して!」

「離すわけないだろ。また逃げるに決まってる」

「だって、薫。私以外の人と結婚するんでしょ?」

私は思ってた事を口にする。

その言葉に薫は、驚いた顔をする。

「誰が?」

「薫が…」

「何それ。俺そんな事、由美に話したか?」

「だって…、さっき、綺麗な人と一緒に居たじゃんか。だから、私と別れて彼女と…」

私の言葉に薫が呆れてる。

「由美は、なんでそんな早とちりなんだよ。彼女は、兄貴の嫁さん。偶然会っただけ」

薫が、苦笑してる。

「だって、楽しそうに話してたし…。私、てっきり彼女と結婚するから、別れてくれって言われるんだと…」

私は、恥ずかしくて俯くと。

「…っとに。俺は、由美以外に結婚したいとは思ってないよ」

薫が、真剣みのある声で言う。

エッ…。

今、何て言ったの?

私は、顔をあげて薫を見上げる。

「由美、俺と結婚してください」

薫が、私の目を見つめて言う。

私は、嬉しさが込み上げてきて、何も言えなくなる。

「由美、返事は?」

「…はい…」

消え入りそうな声でそう答える。

嬉しくて、涙がポロポロこぼれ落ちる。

そんな私を薫が抱き締めてくれた。


私が落ち着きを取り戻した頃。

「由美、これ」

思い出したようにポケットから小さな小箱を取り出した。

「開けてみな」

私は言われた通りに蓋を開ける。

中には、私が前から言っていた婚約指輪が…。

「うそ…」

「嘘じゃないよ。前から言ってただろ。婚約指輪はこれがいいって…」

「覚えて…てくれたんだ」

「当たり前だろ。由美が欲しいって言ってたのちゃんと覚えてる」

って、笑顔で言う。

「…薫、ありがとう」

私は、薫に抱きついた。

「ちょ…由美。指輪これつけさせて」

薫に言われて、左手を彼に差し出す。

彼は、指輪を手にして、薬指に嵌める。

感極まって、また涙が…。

「由美、絶対幸せにするから…」

「うん」

その言葉を信じて、笑顔を見せたのだった。


婚約指輪うぬんは、ご自分が欲しい指輪を想像してください。

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