買い物と戦術とアイの逆襲
ヤモギの秘伝タレ焼きを食べた後、ミーヤの個人端末の通信番号 (電話番号みたいなもの)を交換してわか
れた。
さて、腹はふくれたので次に明日の依頼の準備と食料の購入。あとは機甲人の装備も見ておきたいな。
まあ、流石にトレーラがないと買い出しもできないからアイに町外れまでトレーラを持ってくるように指示はしておいたから一度町を出て合流して再度町に入る。
出入りは意外に簡単だった。ギルドの認識番号を出したら何事もなく通れた。これもギルドの力だろう。
さてと・・・まずは食料を購入する。料理なんてできないので基本的に缶詰だ。
次に武器の類いを見に行く。現在持っている武器は109キャノンだけだ。
あれは対機甲人狙撃銃だ。使える場面も限られる。
だからこの際だから色々と見ておこうと思った。
アイ曰く、出雲の武装の弾薬はあと二回の戦闘で全弾使いきっても問題はないらしい。
109キャノンの弾もかなり予備もあるから問題ない。
んで、武器屋に着いたわけだが。この町で一番大きい武器屋でどちらかいうと傭兵や軍人むけのデパートみたいなところだ。トレーラでも普通に止められる駐車場も完備してるし機甲人も売ってるし動かすスペースもあったり整備するためのスペースもあるみたいだ。
まあ、警備も厳重で認識番号を提示しないと入れないくらいだった。
さて、武器屋なのだが最初はハンドガン類を見てみ て使い方はなんとなくわかったがうまく扱えなかった。どうやらスキルで手に入れたものでしか使い方がわからないらしい。
一応、試し撃ちしてみたけど。やはり使えなかった。いや、全く使えなかった訳ではなかった。何回か撃っていたら感覚的にはわかってきたが実戦ではまだ使えないだろう。
機甲人をシミュレータで操縦した時にも似たような感覚だった。
それでどうしようか悩んだ。今すぐ使える武器は狙撃銃だけということになる。
あんまり経済的に余裕があるわけではないから使えない武器を買うわけにはいかない。
そういうわけで携帯性能が高い狙撃銃を見てみたがハンドガン見たいな携帯性能を持つ狙撃銃は無かった。
ここで考えた。無いなら作ればいいのでは?と、思った。
武器の性能や知識、構造はわかるのに使い方はわからなかったのはあのじいさんに貰った特典の【武器作成】のおかげだろう。武器の性能や知識、構造はわかるのはこれのおかげだろう。
そして、その知識を用いればどんな武器でも作れると思う。魔法工房もあるし。
とりあえず武器にかんしては練習用のハンドガン34口径リボルバー一つと34口径弾の予備弾 。あとは大型ククリナイフを二つに武器を作る為のパーツに分解用の武器をいくつか買った。これで約35000エルドぐらい掛かった。
ちなみにククリナイフなんだけど、これは普通のナイフとは違い切るに特化してあり対人戦にむいているみたいだから買った。
次に機甲人の装備を見ることにした。金がないからどんな物があるのか見にきただけだけど。
まあ結構な種類があるみたいだ。まあ出雲のスペックに合った武装は見当たらないのでやはり作ったりするしかないだろう。
あとは・・・服を買うことにしたのだが・・・高い。
女の子むけの戦闘服は高かった。いや、服自体高いものだが女物は更に高い。銃より値段が高い。
その理由は服に仕込まれている防御魔法らしい。
この防御魔法はかなり高性能で激しい戦闘や銃撃されても破れないようなものらしい。
他にも機甲人のパイロットスーツの機能を持つ服もあるらしい。
ちなみに俺の今着ている服は普通の服なため防御力ゼロだ。
仕方ないのでインナータイプの防具とマガジンとククリナイフの鞘を装備できるベルトとハンドガンのレッグホルスターとレッグポーチを購入しておいた。
これで金は使いきったのでトレーラに戻る。
さて、必要な物は揃ったから明日の依頼についてアイと考える。
アクシアス団長から貰ったデータには各傭兵の乗る機甲人のデータや傭兵の経歴に得意な戦術が記載されていた。
「近接仕様機が2機に中距離仕様機が2機。長距離仕様が1機か・・・」
『はい。この機体構成ならツヴァイヘッド・ドライターンAでの行軍が予測されます』
「アイ。なんだその用語は?」
『機甲人の戦術フォーメーションです。いい機会ですから少し説明しましょう』
「頼む」
『了解しました。まず機甲人の部隊編成ですが、まず小隊編成の基本的単位ですが2機編隊の僚機小規模の3機編隊のことを小隊。中規模の5機編隊を中隊。最大規模の9機編隊を大隊。となります』
なんでドイツ語?
『次に超大規模部隊編成ですが小隊が3つ集まって連隊。連隊を9つで師団。師団が12つで連合となります』
こっちは日本語なんだな。
『連隊と師団は主に国軍や大規模傭兵団。これらは今は関係ないので説明は省きます。ちなみ連合は500年前の魔族との戦い以外では確認されていませんのでこちらも省きます』
まあ、そうだろうな。
『ではまず僚機と小隊についての説明ですがこれは機甲人の基本的戦術になります。今回の敵の五機編隊の中隊ですが近接仕様機2機で僚機を組み中距離仕様2機と長距離仕様1機が小隊を組む形になると思われます。ここまではよろしいでしょうか?』
「問題ない」
『では続けます。先程のツヴァイヘッド・ドライターンAのフォーメーションですがこの場合は近接仕様2機の僚機を前衛に配置しその後ろに小隊をターンAの配置するフォーメーションです』
別のウインドが開き3Dで立体モデルでフォーメーションが表示される。
● (近接仕様) ● (中距離仕様)
__________
__________● (長距仕様)
● (近接仕様) ● (中距離仕様)
『これがツヴァイヘッド・ドライターンAです。今回の戦闘では敵がこのフォーメーションで行動すると思われます』
なるほどね・・・確かに理にかなってるフォーメーションだ。
「このフォーメーションの敵に対して有効な攻撃手段は?」
『このフォーメーションで一番先に無力化する必要があるのは長距離仕様機です。このフォーメーションの場合。長距離仕様機は部隊の目です。後方警戒や前衛に対する指示をだす役目があります。なのでまず狙撃による奇襲により無力化をはかります』
「35キャノンは使えないぞ。あんなものを使えば試験にならん」
『はい。なので機甲人による狙撃ではなくマスターの109キャノンによる狙撃で無力化をはかります』
「具体的には?」
『はい。まずシエルナの町からギカントジャイアントモンキーの生息するレドム伯爵領南までの道は起伏の激しい山林地帯を抜ける必要があります。我々はそこで出雲で待機します。ただし出雲は全システムを停止させておきます。そして、敵機が全機を素通りさせます。 そして敵最後尾との距離が1800mになったら109キャノンで長距離仕様機の両腰の推進機関を狙撃して機動力を奪います』
なるほどね。
『続いて出雲を機動して撹乱しつつ接近。敵は近接仕様機2機が攻撃を仕掛け、中距離仕様機は支援に徹するかと思われますが近接仕様機は無視し、先に中距離仕様機を撃破します。そして、最後に近接仕様機を撃破します』
「そうだな・・・確かにそのプランが一番か」
まあ、俺に詳しい作戦の立案なんてできないからな。アイの作戦で行くしかないだろう。
『では目的地への移動は明日の0900時を推奨します』
確かに相手の行軍速度と討伐にかかる時間を計算してもそれ位が一番か。
「許可する。移動はアイの操作に任せるよ」
『了解しました』
さて、この後はどうしようか?銃の練習は町中ではできないし、銃を作るにも時間がかかるしな・・・
『良ければ今回の任務のシミュレータをご用意しましょうか?』
「できるのか?」
『可能です。少々お時間を頂きますがよろしいですか』
「あぁ、かまわない」
『了解しました』
さて、それじゃあシミュレータができるまで食事と風呂に入ってちょっと休憩しますか。
「おい、アイ。このシュミレータの難易度可笑しくないか?」
『いえいえ、全然可笑しくないですよ』
「いやいや、可笑しいだろ!なんで敵に出雲がちるんだよ」
『2話も私を出さなかった報いです』
「はぁ?何言ってるの?」
『何でもないですよ。さあ頑張ってください』
「ふざけるなー!」