気にすんな
いちおー警告として残酷な描写がありとなっていますが、正直気にしなくても問題ないかと。そのままクリックしてレッツゴーしてもかまいませんと言うか、してくださいwww
どこか遠く、この世のものではなく、いや、もしかしたら近いのかもしれない。
そんな世界に、二人の少女がいた。
「ごめんね、亜紀君。こんなことに巻き込んじゃって。私はさ、こんなつもりで亜紀君を呼んだんじゃなかったんだけどなぁ……。どうしてこうなっちゃったんだろうね」
一人は長い金髪に金の瞳を持つ少女。
「別にテメーが気にすることじゃねーよ。お前は助けを求めた。それに俺が応じた。それだけじゃねーか。テメーが気にすることなんざ一つもねーよ」
一人は、もとは長かったであろう黒髪が肩あたりでバッサリと切れ、全身に傷を負った黒目の少女。
「でも、そのせいで亜紀君死んじゃうんだよ!? ううん、死ぬだけならまだマシ、もしかしたら魂ごと消えちゃうかもしれないいんだよ!?」
金髪の少女が黒髪の少女を抱きかかえるようにしてぺたりと座っていた。
「さすがの神様もそこまでひどくはねーだろ。……ああ、その神様ってーのは俺が消しちまったか」
金髪の少女に抱えられている少女はそう言うと自嘲気味に笑った。
「とにかくだ、テメーは何も気にしなくていーんだよ」
黒髪の少女は傷だらけの腕を上げて金髪の少女の頬にやさしく触れた。
「最初にこっちに来たとき、冗談じゃねぇって思った。最初に説明を聞いたとき、ふざけんじゃねぇって思った。最初に闘ったとき、力がみなぎるようだった。最初に戦場に出たとき、生まれて初めて人の死に出会った。最初にアミリアに会ったとき、五月蠅い奴だと思った。最初にアスカに会ったとき、面倒な奴だと思った。そんでお前に最初に会ったとき――――俺は生まれて初めて他人を好きになった。お前の笑顔が愛しいと思った。お前を失うのが……怖いと思ったんだ……」
黒髪の少女は金髪の少女に向かって、今度は優しく微笑んだ。
「だからさ、俺がしたことは気にすんな。俺はお前が笑っててくれたらそれでいい。ホントは人間なんてどうでもよかったんだ。世界なんてどうでもよかった。俺はただお前を救いたかったんだよ」
ポツ、ポツ、と黒髪の少女の顔に雫が垂れてくる。
「どうしてそこまでしてくれるの……? 私、私のせいで……こんなに亜紀君傷ついてるのに……!!」
「決まってんだろ……?」
黒髪の少女は指でそれを拭ってやる。
「俺がお前の救世主様だからだろーが」