第一話「帰省」
これは、君と出会い過ごした、たった七日間の話
暑い。
夏を一言で表すと圧倒的にこれ。
俺は夏が嫌いだ。
虫が多いし蚊の音も蝉の音も大嫌い。
首にまとわりつく毛先の感覚も気持ち悪くて。
夏のいいところなんて探したことがなかった。
涼しいクーラーの効いた車に揺られ俺はスマホを見つめていた。
どこをスワイプしても流れてくるのは知り合いが夏休みを満喫している写真ばっかり。
俺は絶賛親の帰省に付き添ってやってる。
あーあ。ド田舎なんてWi-Fiもないしゲーセンもない。
俺だって青春してぇよー。
俺は座席シートに沈みながら窓を見た。
田んぼ。電柱。森。
よりどりみどりで、コンクリートの高い建物なんてどこにもなかった。
あーあ。都会が恋しいぜ。
母「さ、ついたわよ。降りて」
そんなこんな考えているうちにあっという間にばぁちゃん家についた。
ばぁちゃんが住んでいるのは東京の街外れのド田舎。「菊村」って言うらしい
米の生産で有名らしいけど、ちっともそんな話は聞いたことがない。
俺は両親についていきながら青春を謳歌している同級生たちの写真を見ていた。
木造建築のでっかい家。俺のマンションの一室を四倍にしたみたいなでかさだった。
ばあちゃん「いらっしゃい。暑いでしょう。はいりな」
穏やかな声でそういうばぁちゃん。ほんとうだよ。暑いったらありゃしない。
さっさと入って涼ませてもらお_
戸を開けた瞬間、外よりはマシだが室内だとは思えない熱気が俺を襲う。
あたりを見渡すと、扇風機一台。襖が開いていて外が見える。
エアコンは????????
奥の部屋にあるかもしれないという淡い期待をもち、俺は靴を脱いで家に入り込んだ。
ない。
どこを見ても白く長方形のでっかい機械はない。
俺はこれからどうやって生活していくのだろうか。
Wi-Fiもない、友達もいない、遊びに行く場所もない、エアコンもない。
帰りてぇ、、、、




