いずれ来たる、未来のお話
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「脆弱な人の身でありながら、よくぞここまで戦ったというべきか。」
地下深く、薄暗い洞窟の中に、しわがれた男の声が鳴り響く。
地面には無数の亀裂や大穴が存在し、決戦の苛烈さを物語っていた。
男は、感情を感じさせない声で言葉を発し続ける。
「今の人類で我らと戦えるのは、女神から加護を受けたお前一人だけ・・・。たった一人、勇者などという理不尽な重荷を背負わされてなお、なぜ戦い続けることを選ぶ。」
「・・・うるせえよ。俺はただ、自分の意志でここに立ってるんだ。お前を倒して、俺が世界を救って見せる。」
全身傷だらけの青年が、血反吐を吐きながら立ち上がった。
青白い光を全身に纏いながら、右手で剣を構えなおす。
その様子を見て、男は目を細めた。
「お前は大きな思い違いをしているようだ。私一人を殺せば、世界に平和が訪れるなどと本気で思っているのか?」
男が仰々しく手を振ると、眼前に様々な光景が浮かび上がってくる。
その映像をいぶかしげに見ていた青年だったが、次第にあることに気が付く。
「そんな…まさか…!?」
目の前に映っているのは、青年の故郷である南の海の町、己の剣を鍛え上げてくれた西の鉄の町、己を友と呼んでくれた東の森の町、そして、守りたい大勢の人間が住まう、中央の王都だった。
それぞれの町に、多くの理外の獣が襲撃し、町が崩壊していく様をまざまざと見せつけられる。
「そんなこと、あるわけがない!」
「勇者よ、今目の前で起こっていることが、抗いようのない現実である。」
ありえない、そう否定する青年に追い打ちをかけるように、男が言葉の毒をまき散らす。
倒壊した都市が、青年に対して無情な現実を突き付けてくる。
青年は、男の言葉に膝を突き、ただ蹂躙されていく都市を見つめることしかできなかった。
ージジッー
粗い映像から、無機質なノイズが流れ続けていた。
青年の額に、一滴の汗が滴る。
地下深く、絶望に満たされたこの空間に、希望の光は届かない・・・。
この展開は、今後のお話の中でも丸々使う予定です。




