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一人百物語

キンコンキンコン

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/19


ふと目を覚ますと、すでに金縛り状態になっていた。

(うわ、まただ)

と私は薄目をあけて思った。子供の頃から金縛りにはよく遭う。大概は周りに何か人の気配がして、次に気がつくと朝になっている。

しかしその日はいつもとは違うものが聞こえていた。


キンコンキンコン……


何かオルゴールの様な音が聞こえる?

いや、あれは…

ベビーベッドの近くに吊して、赤ん坊をあやす時に回転させる、オルゴール付きの“メリー”とかいう玩具の音……だと思った。

その音が大きくなったり小さくなったりしながら、私の周りをぐるぐると回っていた。

音が大きな時は、すぐ耳元で聞こえている様な時もあり、

(何、これ?)

と、思っているうちに眠ってしまったらしく、気がつけば朝になっていた。


朝になってもゆうべの事は覚えていた。

何だったんだろうと思っていると、同じアパートの隣りの部屋に住んでいる弟がやって来て開口一番、

「ゆうべさ、金縛りに遭ってさ。でも変なんだ。オルゴールみたいな音がずっとキンコンキンコン鳴ってるんだ。ほら、あの、赤ちゃんあやす時のくるくる回るやつ。あの音がさ」




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