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BL*「ヒートでぴょこん♡ ネコ耳オメガの秘密」  作者: 星井 悠里


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1/2

前編


 ◆◆


「見ないで」

 いつも強気なノヴァが小さく言って、顔をそむけた。

 黒色の髪の毛を押さえた指の隙間から、これまた黒色の耳がぴょこんとのぞいて、ぴくぴく震えてる。


 シグはその様子に、息を飲んだ。



 ++すこし前。


「日誌書き終わった。シグ、職員室持ってって」

「何でだよ。ノヴァも一緒に行こうぜ?」

「オレが全部書いたじゃん~! もう先に帰るからっっ。オレ急いでんの!」

「せっかく皆が帰って、二人きりなんだからさ。ノートは置いてきてやるから待ってろよ。一緒に帰ろ」


 学校で一番モテるシグは、良い顔で笑って、なんだかカッコつけた感じで日誌を持って出て行った。


 シグはヒト族。ノヴァはネコ族だ。

 色んな種の獣人が一緒に暮らしている世界。皆、普段は人型で暮らしている。


 シグはいつもノヴァに、ちょっかいをかけてくる。


 見た目も中身もイイ男なのは知ってるけど。ほんと、モテすぎて無理。

 あんなのと付き合ったら、心休まらない。

 ノヴァはいつもそう思っていて、本気にはしないようにしている。


 ――それにしても、やばい。頬がほてってる気がする。

 一応抑制剤は飲んできてるけど、そろそろ本格的にヒートがきそう。


 朝からそんな雰囲気を感じていて、今日は早く帰りたかったのに、日直だったなんて最悪だ。筆記用具をしまいながら、ため息をついてしまう。


 この世界、種族によっては、発情期がある。ノヴァは、その発情期をもつネコ族のオメガだ。


 ヒート中のオメガのフェロモンは、種族も、双方の意思も関係なく、アルファを引き寄せてしまう。


 だから――

 アルファであるシグと、ヒートになりかけのノヴァが、二人きりでいるのは、かなり危険なのだ。


 やっぱりシグを待たずに帰ろう!


 ノヴァが急いで筆箱を鞄に入れて、立ち上がった瞬間。


 ぴょこん。

 ……あ。耳、出ちゃった!やば!


 ヒートが近づくと、体が熱っぽくなって、いつもはおさえている耳とか、しっぽとかが、出てしまうことがあるのだ。

 焦ったその瞬間。


「ただいま。待っててくれたんだな」


 嬉しそうなシグの声が聞こえて、一瞬頭が真っ白になる。

 近くに歩いてくる気配。慌てて反対側を向くのだけれど、途中でシグが立ち止まった。


「――あれ、ノヴァ、耳……?」

「ち、ちがっ、これは……」


 ――今まで誰にも耳、見せたこと無いのに。


 人型で生活するのが当たり前の世界。家族以外には見せないのが普通だ。……というか、ヒートになったからって、皆が耳とかしっぽが出る訳ではないのに。なんでいっつも出ちゃうんだろ。

 すごく恥ずかしくなって、泣きたい気持ちで、ノヴァは顔を俯いた。


「……ヒートがもうすぐだから……でも、すぐ抑えられるから。大丈夫だから」


 強がるノヴァだが、その耳はすっかりへしょげて伏せていた。ぷるぷる震えてて、全然大丈夫そうじゃない。


「シグ、先、帰って。収まったら帰るから」


 ノヴァは怯えていた。

 本格的にヒートがきてフェロモンが暴走したら、シグと番になってしまう事故が起きないとも限らない。


 やっぱり学校休めばよかった……。

 後悔しても、どうしようもない。


 シグがゆっくり一歩近づくと、ノヴァは「こないで」と一歩下がった。

 そこで足を止めたシグは、ふ、と微笑んでノヴァを見つめた。


「何もしないから。大丈夫だよ」


 普段よりも余計に優しく話すシグの声に、ノヴァは、縋るように視線を向けた。


「ほんと……?」

「ほんと」


 ふ、とまた微笑んで見せてくれる。





(2026/1/23)



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