【エピローグ】ルミナス・ルセリア
「…つまりその英雄の人は狼で、その人が結ばれたのはキツネの獣人ってことなんだよね?じゃあ…パパとママは何したの…?まさか全部嘘ってことないよね」
ネズミのような少女はメモを揺らしながら問う。
「ふふん…実はな…SIMのメンバーとして働いてたんだ!凄いだろう!友達に言うんじゃないぞ…?ふふ」
父は腰に手をあて誇らしげに笑った。
「えっ、じゃあパパとママも天稟を持ってるの!?」
「あー…お父さんとお母さんは事務仕事だったし、最終決戦のときは政府軍に捕まってたからいなかった。総帥に取られちゃったから力も今はないんだ…」
少女は呆れ果てたように口を開けてため息をついた。
「はぁ…じゃあほぼ何もしてないじゃん…わたし友達と約束あるから、2人で食べる用のおやつちょうだい」
鞄にメモと筆記用具、母から貰った菓子を入れると、少女は外へ歩いていく。人間、獣人と道をすれ違う。公園のベンチに座っているフェネックのような少女の隣へ腰掛け、ネズミの少女は話し始めた。
「ごめんルミナス!遅れちゃった!課題してて…」
「あー、『身近なヒーローの小説』でしょ?ダルいよね」
ルミナスはベージュの毛並みに水色の目をした少女だった。淡い青のパーカーにグレーのスカートを履いている。
「わたしは親から聞いた、「天稟」?みたいな名前の能力を持ってる人たちのことにしたよ!」
ネズミの少女はルミナスにメモの内容を見せながら、親から聞いた英雄の話のうちのほとんどを説明した。
「……っていう話!どう!?感動じゃなーい?」
「まぁね…でも、今も社会を裏から支えてる組織とか、教科書に載ってる『ガルガイドの聖戦』は天稟持ってる人同士の対決だった。とか…結局はただの都市伝説でしょ?」
「うぅ……じゃあルミナスはもうやったわけ?」
少女の質問にルミナスは親指を立てて、わざとらしく肩に手を乗せながら"バッチリ"と言った。
「もおぉ〜!ムカつくぅー!!」
「アハハハ!まぁまぁ、帰って作文用紙とにらめっこしてみるしかないよ。頑張ってしか言えないよ。今日うちハンバーグ出るからもう帰るわ。じゃあね。」
ルミナスは"ルセリア"の表札がついた一軒家へ入る。
「ありゃ?おかえり。早かったね。」
茶色い毛並みの短髪の母親がエプロンをしたまま振り向く。左目には眼帯をしているようだ。奥の方では少し髪が長めの灰色の毛並みの父親が人間の男と話していた。
「ただいま…あーっ!カリス来てるじゃん!!」
ルミナスは嬉しそうに父の方へ駆け寄り、男に抱きつく。
「おっと…!おやおや…元気でした?ルミナスさん」
カリスは笑いながらルミナスを撫でた。
「元気だよー!あと、そういえばあの課題、友達が世界を救った英雄のことをメモに書いてたんだけどさー、それに出てくる名前の中に、父さん母さんとまったく同じ名前があったんだよねー。凄い偶然じゃない!?友達に頼んで話のネタそのまま貰っちゃおうかなって思ったよ…なんてね。」
父は母と目を合わせる。母が笑って頷くと、父はルミナスの方に向きなおって、静かに問いかけた。
「……その英雄の話、聞かせてくれるか?」
天稟ディファイエンス 完
ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。この「天稟ディファイエンス」という作品は、私が人生で創造出来るアイデアを全て詰め込んだ集大成であると考えています。他の有名作品からもいくつもインスピレーションを貰い、励ましてくれる方や絶賛してくれる方の助けもあり、
最後までやり遂げる事が出来ました。最初の大作という事もあり、小説として少々拙い個所もあったかもしれませんが、温かい目で見て頂けたなら嬉しいです。
彼らが生まれ持った天稟で世界を変えたように、皆様も自分にしか出来ない何か大きな事を成し遂げられますように。




