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[第48記]邂逅

「なんだお前ら!ここは一般獣人立ち入り禁止…」

ボガッ…!警備している数人の政府軍が現れるも、オペ達の格闘によって一瞬で気絶させられる。


中央のビルに入り廊下を駆ける。先にはロダーが見える。

「やっと再開出来たな!ロダー!!」

しかし、突然地面が開きオペ以外の4人は落下した。


ドサッ…

「おっ、キタキタ。サディノイラ・ルセリア…あんたはオペロジャックのやつより弱えんスよね?」

巨大な図書館のような場所のテーブルに腰をかけているガニメデは、パタンと音を立てて本を閉じた。落ちてきたサディは上を見上げると、目の前の敵に視線を移す。


「…こうやってアタシ達をバラけさせて…それぞれ配置した受能隊で各個撃破って作戦か。お前1人にアタシを任せるなんて、随分舐められたもんだね。へへへッ…」

ガニメデは何も語らずに手を動かす。バララッ…!

大量の本が空中に持ち上がる。彼の手が脱力したように下がった途端に、本たちは雨のようにサディを襲った。



ドサッ…

「…ナヴィ、大丈夫?立てる?」

2人が落ちたのはボイラー室のような場所だった。周りの空気は赤みがかり、パイプからは蒸気が噴き出す。


「ありがとうございます…シズさん…落ちた途中の分かれ道で貴方が引っ張ってくれなかったら…きっと俺死んでました…多分他の仲間たちは単独のはずです」

差し伸べられたシズの手を取りナヴィは立ち上がる。


「なら早めに合流しないとね。まずあいつを片付けよう」

シズは鎌を取り出し刃を光らせた。彼の視線の先には、黒い軍服を着たライオンのような獣人がいた。


「…貴様ら、1人づつ来る予定だと聞いていたが。まぁいいだろう。このハルダンがまとめて塵にしてやる…」

ハルダンと名乗るその獣人は、自分の身長よりも少し大きい斧を取り出し回した。風を切るような音がする。



ドサッ…

「散らしやがって…ずいぶんとビビってるじゃねぇかロダー…で、アンタが時間稼ぎ役ってわけだなぁ?」

ルドが銃を構えた相手は、黒い軍服を着たアルパカのような獣人。灰色に赤のメッシュが入った毛並みをしている。ルドは辺りを見回した。遺跡のような装飾が施された開けた空間。石の柱や小さめの滝もある。床は石畳のようだ。アルパカの獣人は控えめに咳払いをした。


「ワタクシのことを『時間稼ぎ』ですって?この偉大なるサナベルに向かってその発言…なんて無礼なのでしょう…」

サナベルは苛立ったようにため息を吐くと、槍を出して地面に突き立てた。カンッ!という金属音が響く。



「…俺の大切な仲間に何やってくれてんだ?」

オペは地面の穴を覗き込んだ後、ロダーを睨んだ。


「フッフッフッ…大丈夫。落下死はしないさ。獣人のフィジカルを地面に叩きつけるどうこうで殺せるなんて思っていない。ここまで来れた仲間ならなおさらね…」


「まぁな。」

表情ひとつ変えずに、オペは目を合わせ続ける。ロダーが手を懐に入れた瞬間、彼が銃を取り出すより早くオペの手の甲が空気を叩く。ロダーは引き金を引く。

カチッ…


「現実で出来るかは賭けだったがな…スキルパルス…」

オペの言葉を聞いたロダーの顔に、少し驚きが漏れる。


「お前。その技…」

ロダーの銃を握る手が少し緩む。オペは何も喋らない。沈黙を先に打ち破ったのは、ロダーだった。


「……私は…すこし前に、少年と話す夢を見た。オオカミのような、オレンジの目をした少年だった…。」

ロダーは目を瞑る。



「おや?これは…夢か。明晰夢のようなものだな」

彼の意識が起き上がった時、彼は落下していた。ロダーは受け身を取って転がると、周りを見渡す。

「うわぁ!?人が落ちて来た!?」

小さなオオカミの獣人が驚いた様子でロダーを見る。


「…君は獣人か…ここは人間の生活区域ではないようだな。」

ロダーが話しかける。少年は首をかしげた。

「あの…お兄さんは人間だよね…?」


「そうだ。」


「ちょっとジャック!!何してるの!?人間に関わっちゃいけないってあれほど…!貴方も…帰ってください…」

手を震わせる少年。そして少年によく似た少女が駆け寄ってくると、彼を抱きしめながらロダーを睨んだ。


「…………」

少年は姉らしき獣人に手を引かれ帰っていく。しばらくして、ロダーが立っている道路に少年が走ってくる。 

「あの!お兄さん…さっきはごめんなさい、お姉ちゃん『呪い』?を持ってるらしくて…人間が怖いんです」


「呪いか…ということは、国から隠れているのかな?君は持っていないようだが、お姉さんを匿っているのかな?心配しなくていい…私も同じだ。仲間だよ。」

ロダーは屈んで目線を合わせ、少年に話す。


「…別にお姉ちゃんを匿ってる訳じゃないです。お姉ちゃんは毎日、捕まるかもしれないのに外に出て生活費を稼いで…ホントに、僕は足手まといでしかない…」


「なるほど。自慢のお姉さんなんだね」


「しっかり僕が守ってあげたい…強くなりたい…」

少年が泣きそうになりながら呟く。

「君にちょっとした技を教えてあげよう。衝撃波に自分の力を乗せて空間そのものに放出する技だ。」


「え…なんで急にそんな親切に…?」


「なんだか懐かしい気持ちになったからだよ少年。」



「…そこからしばらくは、就寝するたび夢に少年が出てきたよ。その少年は姉を奪われ…呪いが発現し…そして、ずっと追い続けた目標にたどり着いた。」

ロダーは目の前の男を見て、感慨深そうに微笑む。


「……お前なんだな。アイジが守りたかったのは。」

オペがそう言うと、ロダーは一瞬ハッと驚く。すぐに冷たい視線に戻り、帽子を整えると静かに言う。




「…来い。」

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