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[第2記]全能統治軍

「よし、今日の偵察は俺だけで行く。」


「ええっ!?」

班員たちが驚いた顔でオペを見る。


「…偵察担当に今日は休みと伝えておけ。俺はもう外に出る。」


オペが玄関の扉を開け街に出ると、そこにはレンガ造りの建物の夜景が広がっていた。歩き続けていると、

しばらくして軍服を着た集団に出会う。


「お前…獣人だな?」

軍服の集団の1人がオペに話しかける。


「ああ。いかにも。だからなんだ」


全能統治軍(ぜんのうとうじぐん)の者だ。悪いが獣人は保呪者の可能性が高いからな。少し検査に付き合ってもらっていいか?」


「いや、検査の必要はない。」


「これは義務なんだ。すまないな」


「必要ない。俺は保呪者だからな。」

そう言った瞬間、政府軍が一斉に腰から

銃を取り出し銃口をオペに向けた。


「あんた…馬鹿か?わざわざ自分から保呪者であることを明かすとはな…しかも最近群れての保呪者が多いのに、あんたは1人だ。」


「お前らこそ、俺を誰だと思ってる?」


「あぁ?知るかよ」


「待て…あいつまさか厳重指名手配犯のオペロジャックじゃないか?」

政府軍の1人がハッとした顔で仲間を見る


「特に呪いが厄介と言われてる奴らか…でもその分懸賞金も弾むんだろ?ラッキーじゃねぇか」


「ふっ、おめでたい頭だな」

オペが煽る。


「お前自分の状況分かってるのかよ。3つの銃口向けられてんだぞ」


「…だからなんだ?早く撃てよ。ビビッてるのか?」

…再びオペが煽る。


「撃ってやるよ。」


カチッ…


「あれ…撃てな…」


カチッカチッ


「どうした?撃たないのか?」

オペが政府軍に近づく。


「来るな…!」


ヒュッ…!ガンッ!


回し蹴りをする。鈍い音がなり1人目が倒れる。


「クソッ…オラァ!」

政府軍が銃を捨て殴りかかる。


「うぉ」

腕をつかみ投げ飛ばす。地面に激突し2人目も倒れる。


「なっ…」

3人目も鮮やかに気絶させ、オペはゆっくり深呼吸した。


「ふぅ…銃が普及したのは幸運だった…この武器は俺の呪いと相性がいい…」


彼はオペロジャック。「不具合」の呪いを持つ保呪者である。彼を対象とする複雑な構造をもつ道具は一時的な不具合を起こしてしまう。


バチッ…ジジッ…


「監視カメラか…俺は機能停止しているところしか見たことがないがな…」



ガチャン…

「…戻った」


「オペ司令!ご無事でしたか!」


「あぁ…政府の下っ端なんかに負ける俺じゃないさ。まだこのSIM(シム)のこともバレていないようだった。」


「それはよかったです。SeviorIrenicMutinyは保呪者の希望ですから。やっと最近支部も増えてきたんだ…こんなところで政府ごときにやられる訳にはいきません。」


「俺が作ったよくわからん組織に入ってくれてありがとうな。」


「いえ。オレも割と初期にサディさんに助けられたときから、SIMには忠誠を誓っていますから。」


「サディか。あいつもSIMに入ってから多くの保呪者を救っているからな…俺も見習わなければ…」


「何言ってんですか。充分救われてますよ。今日は休んでください。」


「あぁ…すまないな。」


オペは部屋に戻り、眠りについた。



―全能統治軍 総合管理室

「ロダー様、失礼致します。」

扉をノックし、書類を持った人間が入ってくる。


「保呪者の捕獲数が落ちています。なにか保呪者を匿う巨大組織があるのかもしれません。」


「…人間」


「あっ…人間ですね、今回の調査でも満足度は90%を上回っております…そこはどうかご安心を。獣人からの意見も検査が少し面倒というくらいで大きなデモ活動やクーデターも30年前からゼロですし。」


「…保呪者は1人残らず街から消さなければいけない。今日も世界は回るんだ。ついてくるのは何の異能も持たない、純粋な人間と獣人だけでいい…」


「ロダー様の言う通りです。世界への軍の配置は今まで通り均等にでよろしいですか?」


「あぁ…だが、ありったけ兵力を増やしておけ。近々…必要になるからな」


「はい。大規模な捜索でしょうか?それか人間だけ避難させてシラミ潰しに爆撃とか…」


「ふふ…そんなつまらない事しないさ。それよりも…もっとワクワクするものだよ」


「…なんでしょう?」


「全面戦争だ。こちらに仕掛けてきた所を真っ向から駆逐して…保呪者の日常も未来も破壊する。」


「それは…ド派手ですねぇ。」



「全世界と、総人口のうちたった1割の保呪者…最後に常識になるのはどっちなのか…これは見ものだね。」

ロダーは不敵な笑みを浮かべて両手を広げた。

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