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[第27記]奇妙なユメ

ガチャ…アジトの扉が開く。

ルドとオペが入ってきたのを見てメンバーが声を上げる。他のメンバーも集まってくる。


「オペさん…!ルドさん…無事で良かった…!」


奥からドタバタと音が近づいてくる。サディだ。

エプロンをしており、彼女の名前の刺繍も入っている。手にはオタマを持っている。


「オペ帰ってきた!?大丈夫だったか!?」


「あっうん…だいじょうぶだった…」

カタコトにオペが答える。サディの方を見ていない。


「なんでこっち見ないんだよ?」

サディはニヤニヤしながらオペの周りを回る。オペは顔を赤らめて頑なに目を合わせようとしない。


「お前ら作業に戻れ。ほら行った行った」

ルドは小声でメンバーを戻らせた。2人きりになると、少ししてオペは静かにサディを褒めた。


「エプロン…似合ってるな。料理してたのか?」


「あーこれか?シズに教わってたんだ…へへ…ちょうどスープ作ってたんだよ。あとチャーハンも。食べるか?」


「…たべる!」

オペは彼女についていき食堂の席につくと、サディが食事を持ってくる。横にはシズもいた。


「シズ!治ったのか!良かった…元気そうだな」


「この支部の技術が凄いんだよ。政府と同じくらい発達してる。昨日の昼には完治したよ」

シズはオペの隣に座り足をプラプラさせた。


「そうか...確かに本部にも無かったものが多いな。」

そう言ってオペは施設にある近未来的な設備を見渡す。そしてスプーンを手に取るとサディの作ったチャーハンをすくった。暖かく良い匂いのする湯気が鼻の奥まで届く。口へスプーンを誘うとサディは緊張したように唾をゴクリと飲んだ。


「...おいしい!」オペはひとくち、ふたくちとチャーハンを口に放り込む。サディは小さな声で「よしっ!」と心の声を漏らし、シズもそんなサディを嬉しそうに見つめた。


「まあシズのレシピどおりに作っただけだし、てか隣にシズいたし。アタシが作ったって言っていいのかはわかんないけどな。」

嬉しさを隠すように付け加える。


「えっ!サディだけで料理したのか!?シズは何も手伝わずに!?」

オペは目を丸くする。シズがうなずいた。テーブルに身を乗り出してオペはすごい、すごいとサディを褒め称える。シズも一緒になってサディを褒め始め、一方的な賞賛の防衛戦がはじまった。


「も...もういいって。いつでも作ってやるからいったん落ち着け」

サディは2人をなだめておかわりもすべて平らげたオペから食器を受け取る。


「ほんとにおいしい。毎日これでいい...」

オペはまっすぐな目で見つめながら食器から手を放し立ち上がる。


「...チャーハンだけだと飽きるでしょ。…ボクもこれから先サディに色々なレシピ教えるからさ…」

シズが立ち、サディから食器を取りキッチンへ向かう。


ピンポンパンポン…スピーカーから音声が流れる。

「業務連絡。オペロジャック、サディノイラ、マルディエ、以上3名は第1会議室に来てください。」

ピンポンパンポン…


「…ボクは洗い物しとくから。いってらっしゃい。」

シズはキッチンの蛇口を捻り皿を洗いながら言う。



ガラガラ……オペが扉を開けると、部屋には既にマルディエと、副支部長の2人が座っていた。サディが話の内容を尋ねると、副支部長は静かに口を開いた。


「…このアジトの場所がバレたかもしれません。というのも、大規模な政府の隊がここからすぐそばに基地を建てたらしいのです。ザヤさんでも捌ききれない量のため、少しの間外には一切出ず潜伏します。」


「…なるほど。ここの戦闘班の指揮権をくれ。俺が訓練しよう。あとシズリィロも本部では特別行動班を率いていた。身体能力も申し分ない。」


「ではシズリィロさんにも権限を与えておきます。」

副支部長は紙に名前を書いたあとに会議を終わらせた。ルド、サディはそれぞれの部屋に戻る。オペもシズに状況を伝えた後に自室へ向かった。


「はぁ…しばらく外には出られなそうだな。」

オペはそう呟きベッドに寝転ぶ。だんだんと瞼が重くなっていき眠りに落ちる。



「ん……うわあぁぁ!?落ちるっ…!?」

オペが落下しながら叫ぶ。地面が見えてくるとオペは受け身を取ったが、脚には衝撃が伝わり血が流れる。


「ぐっ…!……これは夢か…?でも痛いんだよな…」

脚を押さえて小さく呻く。顔を上げると何者かがこちらに歩いてきているのが見えた。


「…ねぇそこのお兄さん…大丈夫ですか?」

灰色の髪をした青い目の少年だ。心配そうにオペの脚を見つめる。オペが「大丈夫だ」と微笑むと、少年は振り返り誰かを呼ぶ。


「どうしたんだアイジ…ああ、怪我人か…アイジ。」

水色の髪をした赤い目の少年がアイジという少年を見る。アイジはコクリと頷いてオペの脚に優しく手を添える。アイジが手を離すと、傷口が跡形もなく塞がっていた。


「大丈夫ですか…?僕の能力で皮膚を『付与』しておいたので…まだ痛むようなら兄に頼んでください」




アイジはニコリと笑い兄に目を向ける。兄も親指を立てて少し笑った。

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